12-1



取り乱したなずなからの電話に俺は驚いた

けどなずなが助けを求めるよう告げる言葉に身体中から血が引いていく感覚がする

俺は電話を切ると同時に無我夢中で走り出した


『ダリアさんが倒れたのっ』


ダリアが、倒れた
あぁ本当に俺達はダリアの事に関しては冷静になれない


俺は勿論、さっき電話をくれたなずなも、デート倶楽部の皆も先生方も


冷静になんてなれないんだ





「なずな!」

「お兄ちゃん、」


なずなの腕の中でぐったりとするダリア
じわり、胸の中に広がる黒い感情


大事な妹にまで嫉妬してしまう自分が嫌になった


けど今はそれどころじゃない、頭を振りその感情を無理矢理追い出す


「取り敢えず保健室に運ぼう」

「、うん」


そっと彼女の身体を抱き上げた
思った以上に軽く細い、柔らかな身体


不謹慎にも心臓が騒ぎ出す
あんなに憧れて焦がれて欲した彼女に、今は俺だけが触れている

そんな優越感



俺は、デート倶楽部の連中と比べたらダリアと過ごした時間は明らかに少ない


なずなが来なければ、巻き込まれなければ、きっと彼女と関わる事はなかっただろう

ずっと見つめているだけのまま俺の狂気染みた恋は散っていた筈だ


だけど、好機が訪れた


なずながデート倶楽部に巻き込まれた
最初は大事な妹を助けなければと思っていたけど、はたと気付く


このままなずなが巻き込まれれば俺も巻き込まれる

そうすればダリアと関わりを持てる




それからはあっという間だった


やはり俺も巻き込まれデート倶楽部に所属することになって、ダリアの傍にいれる



それがこんなに幸せなことなんだって毎日実感するんだ



俺は毅然とする彼女しか知らなかった
意外と豊かな表情、優しい温もり、温かい眼差し

知らないダリアを知っていくのが快感で愛しかった


ねえ、ダリア
君は気付いているんだろう?


俺の狂気に



きっとダリアは受け入れてくれる
俺の狂気染みた想いも狂った愛も狂おしい程の恋情も
ダリアなら包み込んで、丸ごと愛してくれるって信じてる

信じているんだよ



だから今は待てる

いくら鹿野兄弟が彼女に甘えても、芹が彼女を振り回しても、藤先生と彼女が仲良くしても


いつかは俺だけを愛してくれるんだから
少しくらいの我慢なんて気にしない



そっとダリアを見下ろした

あぁ、早くこの綺麗なダリアを俺で汚してしまいたい



―――――
お兄ちゃんってこんなキャラだっけ?
なんか勘違い乙な子に…orz

おおう、もう、無理だ(バタンッ)


◇◆2011.12.31



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