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全てがスローモーションに見えた




今日、ダリアさんと二人で薔薇園を散歩していた
相変わらずカッコ良くて綺麗な彼女にドキドキしっぱなしで、見惚れるばかり


でも彼女を見つめていると気が付く
ダリアさんがいつもより顔色が悪いことに
具合が悪いのかと思って尋ねるが彼女は『少し疲れているだけさ、気にしないで』と、そして綺麗に微笑むだけ

本当はこの時もっと詰め寄って置けば良かったんだ
それか早く切り上げていれば、こんな事には




ゆっくり傾くダリアさんの身体が次の瞬間には大きな音を立てて地面に伏してしまう


「ダリアさんっ!!!」


急いで抱き起こすが苦しそうに顔を歪めながらダリアさんは気を失っていた


「っどうしよう」


いつもなら冷静に対処出来るのに、ダリアさんが倒れた事で冷静になれず頭が混乱してしまう


「そうだ、お兄ちゃんっ」


女の私じゃ彼女を運ぶことは出来ない
だから頭に浮かんだ頼りになる兄に震える手をなんとか抑え電話を掛けた


『なずな?どうしたんだ?』

「お兄ちゃん、助けてっ!!ダリアさんが、」


お兄ちゃんの声を聞いて安心したのか縋るように半ば叫びながら事の経緯を話す


『分かった。直ぐに行くよ』


それだけ言うと切れた電話
私は腕の中で気を失ってるダリアさんに視線を落とす
ぎゅっと抱き締めて彼女の温もりを感じた
その温かさにホッとする


「ダリアさん、ごめんね」


きっと彼女は私を怒らない
寧ろ心配を掛けたと謝るだろう

気を失っているダリアさんの額にちゅ、と口付けを落とす


謝罪の意味か、早く治りますようにとおまじないの意味か、または違う意味なのか私にも分からなかった





―――――
ちょっと続けます

なずな→侘助→藤視点の順で更新します!

葵と敦盛と芹は出過ぎだと思うので今回はおやすみ
いや、この三人+雪柳先生は動かしやすいから、ね

それに比べて藤と侘助は動かしにくい…

なずなと蘇芳先生と蓮華先生も少し微妙なところかな


◇◆2011.12.31



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