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たまに、疲れてしまう


自分が自分じゃないみたいで、自分が誰か分からなくなって、『八重原ダリア』なのか『八重原ダリア』なのか


分からなくなって、疲れる



「お前は頑張り過ぎだ」

「蓮華、先生…っ」

「此処には俺しかいない。泣きたいだけ泣けばいい」


蓮華先生の腕の中でポロポロ涙を流す私
『八重原ダリア』には有り得ない醜態だろう


だけど、だけど


背中を優しく撫でる武骨で、でも優しい手が余計に涙を誘うんだ


「八重原」


いつもより柔らかい声音に嗚咽が漏れそうな私にポンポン、あやすように撫でてくれる蓮華先生に吐き出してしまう


「蓮華せんせっ」

「…なんだ?」

「もう、疲れました、」

「あぁ」

「も、う」

「頑張ったな」

「………っ…」


そのまま私は暫く蓮華先生の抱き締められたまま声を上げて泣くのだった




















俺の腕の中で涙を流す八重原
こんな彼女を誰も、知らないだろう


あれは、本当に偶然だった



◇◆◇◆◇◆
『くっ、』

『お前は…』

『っ、蓮華先生』


放課後、一人薔薇園の隅で膝を抱え身を隠すように泣く彼女に会ってしまった
いつも毅然としている彼女が、デート倶楽部の奴等と対等で凛としている彼女が、こんな風に泣くとは思わなくて驚いてしまうのは仕方ないだろう

だけど八重原は見られたくなかったみたいで涙を拭い直ぐに去ろうとする

それを何故か、俺は無意識に彼女の細い腕を引いて引き留めていた
引き留めて、抱き締めていたんだ
◇◆◇◆◇◆



それがきっかけだった
それから彼女は自分を頼ってくれるように、自分だけに弱さを見せてくれるようになり甘えてくれる


デート倶楽部の連中にも他の教師にも見せたことのないだろう彼女の弱さ


それを無防備に曝してもらえることに優越感を抱いてしまう


きっと雪柳辺りにバレたら羨ましがられ、憎まれるだろうって分かっているのに

どうしても彼女を振り切れない自分がいた


相手が女子だからか、生徒が自分を頼っているからか
もしくは、


「蓮華先生、」


ふと彼女に名前を呼ばれ思考を遮断し、腕の中にいる八重原に視線を落とす


「ありがとうございました」


誰よりも何よりも綺麗に微笑む八重原


あぁ、この笑顔かもしれない


涙を流した後だけに見せるこの綺麗な笑顔


この笑顔を守れるなら俺は、いつまでも彼女にとって頼れる教師でいよう

それ以上は望まないから、だからまだ自分に頼って欲しい、なんて



馬鹿げてる





―――――
もうキャラ崩壊\(^o^)/
誰ですかねこれ

ダリア成代が蓮華先生だけに甘えるようになった経緯を書きたかったんだが中途半端過ぎて泣けてくる…!


◇◆2011.10.24


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