10-2




蘇芳先生に面白そうだからという理由で雪柳先生に嘘の相談をすることになった

最初は勿論断った
だけど「奴を騙す自信がないのか」とバカにしたように笑われ、演技力をバカにされたみたいでつい彼の挑発に乗ってしまい今に至る


「ダリアちゃん、僕に相談って何かな?」


何だかいつもよりも嬉しそうにニコニコ笑う雪柳先生
生徒に頼られて嬉しいのか、はたまた別の理由か


「大したことではないんですけど」

「いいよいいよ!僕はどんな事でもダリアちゃんに頼られたら嬉しいんだから」

「はぁ、」


やっぱり真意が読めないこの人は苦手だ


「で、どうしたの?何か困った事でもあった?」


けれど心配そうに顔を覗き込まれてしまえば申し訳なくなってくる


「実は、好きな人が出来たんです」

「、」


先生は私の言葉に目を見張る


「それでデート倶楽部の彼らには相談しにくいですし、雪柳先生にならと、」


ちらり、もう一度彼を伺い見れば、にこり、不自然な程満面の笑みが目に入った


「そうなんだー!それで相手はだーれ?」

「、」


あぁ、しまった
相手なんて考えていなかった

今から嘘だ、って何だか言えない
満面の笑みの筈なのに、違和感がどうしても拭えないから


「……最近図書館で仲良くなった人です」

「へぇー…図書館、か」

「、?」


咄嗟に図書館でよく会う委員の子を言ってしまったけど、大丈夫だろうか


「あ、ダリアちゃんごめんね!僕今から用事があるんだった」

「私こそ引き留めてしまってすみません」

「いいよ、これからも何か合ったら僕を頼ってね」


綺麗な愛らしい笑みを残し雪柳先生は去って行った


「はぁー…」


溜め息を吐き雪柳先生の誤解は蘇芳先生に解いておいてもらおうと、元凶がいるであろう場所に足を向けた





さっき、雪柳先生が去り行く時、一瞬歪んだ顔は気のせいだと自分に言い聞かせて





















「消さなくちゃ」


自分の頭の中でぐるぐるダリアちゃんの言葉が巡る

『好きな人が出来たんです』

ダメダメ、ダメだよ
お姫様は王子様のものでしょ?


デート倶楽部でいくら遊ぼうと、他の子を口説こうと、ずっと僕なりに我慢してきた


なのに、好きな人?


許さないよ、許せない

君だけは失えないから

だから余計な駒には消えてもらわなくちゃ
いらない邪魔な駒は消さなくちゃ


ダリアちゃんだけは、奪わせない


「ねぇ、君」


だから、僕の為に消えて

















「あ!ダリアちゃん!」

「雪柳先生?」


雪柳先生は私を見付けるや否や駆け寄って来た


「もー!大和くんから聞いたよ!この間の好きな人、嘘だったって」

「あ、あの時はすみません」

「まぁ元々は大和くんが元凶だしね、気にしないで。怒ってないから」


そう言うと雪柳先生はいきなり抱き着いてきた

吃驚して固まっていると耳元に唇を押し当てられ息を吹き込むように囁かれる


「良かった、ダリアちゃんが奪われた訳じゃなくて」

「、っ」


ゾクゾクと身体中を快楽が駆け巡る
雪柳先生がまるで愛撫をするように耳元を刺激するから

背中と腰元をそっと撫でられ、びくり震えてしまった
クスクス、耳元で笑い声が響く


「ダリアちゃん、すーっごく可愛いよ」

「は、ぁっ」


パッと先生は私を呆気なく離す
赤く染まったであろう頬に口付けを一つ、落とされた


「これ以上は僕が我慢出来ないからね」


ボソッと何か言ってたが羞恥から火照った身体に気をとられ気付かなかった


「もし本当に好きな人が出来たら、どうなるか分からないよ」




―――僕も、きみも。





彼女は知らない
最近会わなくなった彼が社会的に消されていたことなんて



彼女の何気ない一言のせいで絶望を味わってるなんて



なにも知らない





―――――
途中で行き先を見失って、何とか書き上げたけど、全然納得のいく文になってないから、きっとまた書き直します。

もう雪柳先生じゃない誰だこれェ…

もっと皆がゾクゾクするくらい怖くなる小説を書きたい!


◇◆2012.02.25



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