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ア/ンチダリアをぼっこぼこにしてやんよ!なお話





その日、私は何故か蘇芳先生と一緒だった


「あの、そろそろ部の方に行きたいのですが」

「今日は休め」

「、何故」

「いつも優秀な君にご褒美を上げよう」


蘇芳先生の言葉に少し、構えてしまう
少し(?)怖くて分かりにくいけれど優しい人だって分かっている(前に先生に優しいですねって言ったら鼻で笑われた)

分かっているけど、


「そう警戒するな」

「いえ、でも何故急に?」

「…………、」


気に入らない質問だったのだろうか
じっと見つめられた

やっぱり、私が折れるしかない


「……それでご褒美って何ですか?」

「あぁ、今からデートをしよう」

「………………はぁー、」

「なんだ?不服か?」


にやり、本当にそんな表現が似合う笑い方で私を見下ろす蘇芳先生

私はまた出そうになる溜め息をぐっと飲み込んだ


「それはデートと言うより、『買い出し』じゃないんですか?」

「そうとも言う」

「分かりました、手伝います」

「あぁ、助かる」


私は先にカバンを置いて来ようと寮に足を向けると蘇芳先生も着いて来てくれる
そして自然な動作で私が持つカバンを奪い、手を取る


「部屋までエスコートしよう」

「ふふっ、ありがとうございます」


私も先生も柔らかく微笑む
この人がこんな優しい顔が出来るなんて思わなかった
だから始めは驚いてばかりいたけど今は嬉しくなれる





だから優しい笑顔ばかり見て
ニヤリ、蘇芳先生が残虐に笑んでいたことに気付けなかった
















葵「だーかーらー、お前ら消えてくれない?」

「な、なによ!貴方達にそんなこと言われる筋合いはないわ!」

「そうよ!それに八重原さん自身が直接文句言いに来ないなんて、卑怯よ!」

芹「文句、ですか?おかしな事を言いますね。僕達はそんな下らない事を言いに来たんじゃありません」

「え、」

敦「これは命令だ、消えろ」

「っ」


葵と敦盛と芹は冷めた目で、いや、まるで穢いものでも見るかのように二人の女子を見下ろした


演劇部の面々はダリアを母の様に慕う者か、疎ましく思う者かで分かれている
その中でもこの二人は特に酷いダリア嫌いの女達だった


今まではダリアが止めるから葵を始めとするデート倶楽部の皆は我慢していた、していたのだ


だけどコイツらは、そんなダリアの優しさに気付こうともせず、わざとぶつかるようにダリアを階段から突き落とした


幸い階段の下に蓮華がいたから被害は免れた、けどダリアに異常な愛情を向ける面々はそれが許せなかった


葵「あーもーまじめんどくせぇー奴等」

敦「いっそのこと強制退学でも良くないか?」

「なっ!?」

「ふざけないで!なんで私達があんな女のせいで退学にならなくちゃいけないの!」

芹「あんな女、ですか。それならダリアさん以下の貴女方はどう表せば良いんでしょうね」

葵「つか、ダリアと比べること事態ちょー失礼じゃね?」

敦「全くだ。同じ舞台に立ててすらいない貴様らがギャーギャー喚くな」

「…っ……」


涙を堪えるようギリッと奥歯を食いしばる女子二人

だけど助けてくれる人はこの場にはいなく、いるのはただ自分達を見下ろす敵意に満ちた瞳


「な、によなによなによなによなによなによ!!!」

「あいつ、掛け持ちなんかして変な部で遊びまくってる癖に親が有名女優だからって劇の主役に選ばれて!!」

「私達は真剣にやってるのに!お遊びでやるなら止めて欲しいと思うの当然じゃない!」


逆上して怒鳴り散らす二人
葵達は思った
あぁ、醜い。早くダリアに会って癒されたい


芹「嫌がらせの次は逆ギレですか。醜いですね」

敦「まぁ、一部共感出来なくもない」

葵「あ、分かる!あいつ、演劇部なんて辞めちゃえばいいのにー」

芹「全くですよ。ダリアさんは僕達デート倶楽部だけにいてくれればいいのに」

敦「デート倶楽部自体、ダリアが何処にも行かぬよう閉じ込めておく為の鳥籠だしな」

「、」

「貴方達、狂ってる…っ」


その言葉に葵達は綺麗に微笑んだ
本当に、場違いな程綺麗な微笑みを


葵「まっ、これから平和に生きたかったら自主退学を勧めてやるよ」

敦「もしこの学園に居座る気なら、生き地獄を味わう覚悟でいるんだな」


敦盛が持っていたナイフを女子の頬に軽く滑らせた
ひっ、と情けない声が聞こえる


芹「これは警告ですから、どう受け取ってもらっても構いませんから」


その言葉を最後にガクガク怯え震える彼女達を置いて3人は立ち去った














葵「てか何でエロ教師もボケナスも子ぶたちゃんもいないわけ?」

敦「全く、非協力的な奴等だ」

芹「仕方ないですよ。藤先生は仮にも教師ですし侘助さんはサッカー部の試合が目前に迫っている、何か問題を起こす訳にもいかない、なずなさんは女性なのでこのような事には向かないでしょう」

葵「あー、なるほどね」

敦「そう考えればこの面子が妥当だな」

芹「そんなことより、早くダリアさんに会いたい…」


芹に同意するように二人は大きく頷き溜め息を吐く

早く、早く早く早く早く、彼女の温もりに包まれたい
あんな醜いものを相手にしていたから尚更、心が身体がダリアを欲する

もうダリアがいなくちゃ、





















?「ほんっと彼等は甘いなー」


ふと彼女らの目の前にある人物が現れる
今の彼女らからしたら彼は救世主、正義のヒーロー、白馬の王子様などに見えただろう


「あ、先生…!」

「っ助けて下さい!実は、」


当然、その彼が教職についていたら尚更縋るのが普通だ

けれど彼は呆れたように独り言を漏らすだけ


?「まだ子供だし仕方ないのかな?でもやるなら徹底的に、」

「ゆきやなぎ、せんせい?」


何時もの愛らしい笑みを浮かべている人懐こい先生はそこにはいなかった

彼女らは葵達を前にした時よりも怯える
ガタガタ身体が震え、ガチガチ歯が噛み合わなくなる



今、目の前にいるのは誰?


残虐に微笑む彼は、誰?





雪「殺らなくちゃ、ね」





その日、学園から二人の女子生徒が消えた

彼女らの行方を知る者は誰も、いなかった





―――――
\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/

いやー、やっちまった感があるぜェ…
どうしよう
なんか、なんか!怖いよ!

取り敢えず次は蘇芳先生とダリア成代の買い出しデートを書きたい!ほのぼので!
絶対蘇芳先生が優しいっていうキャラ崩壊するけど、書く!


◇◆2011.10.02
◆◇2011.10.02 移動完了


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