刹那、君を求める権利を




やって来ました
高校生にとって嫌な週間が


「シンー!一緒に勉強しよ」

「は?やだよ」

「なんで!?」

「だってお前、バカだし」

「こないだのテスト、英語勝ったもん!」

「その代わり数学、ボロクソに負けてたっけ」

「うっ、だってー…数学苦手」

「はぁー…、今回だけだからな」


シンの言葉にあからさまに落ち込むと彼は溜め息を吐いて、一緒に勉強することを許してくれる
何だかんだ言っても優しいシンが私は好きだ

勿論、友人として


「(だってシン達にはマイ先輩がいるし)」

「何してんの、早くしろよ」

「あ、ごめんなさい」



こうして私とシンの勉強会が始まろうとしていた



「ここはこうなって…おいバカ!なんでそうなるんだよ」

「うっ」

「なんでこんな問題も解けないわけ?お前バカだろ」

「うぅっ」

「バカ!だからそうじゃないっつってんの」

「(シン、スパルタだ…)」


しかも間違える毎に、いや間違えてなくても必ずバカが付いてくる


「ちょっと休憩にする」

「……はーい」


くたっと机に伏せる
うー、ここまで厳しいなんて思わなかった


「二人共頑張ってるね」

「イッキさん、」

「そんな頑張ってる二人には、僕からメロンソーダとミルクティーをプレゼント…あとこっちのパフェは店長から」

「わーい!ありがとうございます」

「現金なやつ」

「はは、可愛いじゃない」


イッキさんに出された飲み物とパフェに私は顔を綻ばせる
シンは呆れたように溜め息を吐いて、イッキさんはおかしそうに笑うんだけど

結局は優しげに私を見つめてくれるんだ


妹的存在って結構得だよねーなんて考えながら私はパフェを一口食べる


「ね、一口ちょうだい」

「えー…シンだって同じの食べてるじゃん」

「俺のも一口上げるから」

「なんで?」

「いいから」


そう言ってシンは薄く口を開く
意味が分からないまま私はパフェを一掬いしてシンの口元に持っていく


「はい、あーん」

「あー、ん。うまい」

「シンのと変わらないと思うんだけどな」

「いいの。ほら、あーん」

「あーん」


シンが差し出してくれたパフェを一口食べた

そこでふと気付く


「(あ、れ…これって間接キス……っ??!!)」


じわじわと頬が熱くなる
それに気付いたシンが微かに笑った


「何?照れてんの?」

「違いますー!ただ少し暑いだけですー!」

「やっぱりバカだろ。そんな明らかに照れてますって顔で言われても説得力ないから」

「…、……」


恥ずかしくてそっぽを向くとシンはクスクスと笑う


「もー!笑わないで!!」

「悪い、でも嬉しくてっ」

「?嬉しい…?」

「うん。少しは俺も」


―――男として見てもらえてるんだって思って―――


「え、」

「何でもない…ほら続きするぞ」


さっきのシンの言葉が私の胸に陰りを落とす
何だか、違うような気がして
でも何が私にそう思わせてるか分からなくて、靄が心の中に広がった











「全く、シンってばここが冥土の羊だって分かっててやってるのかな…ああ、きっと分かっててやってるのか…。トーマ、弟分の躾、ちゃんとしといてよね」

「…っ……」

「トーマ?」

「……俺、仕事に戻りますね」

「あ、行っちゃった」


ふう、と一つ溜め息


「ねえミネ、一体君はどれだけの蝶を惹き寄せる華なの?…でも蝶のように自由気ままにひらひらと、捕まってはくれない」




(「ずっと同い年の男の子にしか思われてないって思ってたけど、男として見てもらえてるって思っていいんだよな」)




ひらひらと、華の周りを舞う蝶たち

ひらひらと、蜜という愛を求めて

ひらひらと、ひらひらと、蜜に焦がれる





―――――
うーん、なんか結構ほのぼのとしてるな

シンってヤンデレ難しい
あとケントも

トーマは言わずもがな、イッキはきっかけがあれば余裕でヤンデレになるよね
ウキョウは自覚なしの無邪気なヤンデレ
まあ私の勝手な想像だけど

あとシンは付き合う前はああいう恥ずかしい事をさらりとやってのけるけど、付き合ったら恥ずかしい、照れるって出来なくなりそう

キスは余裕なのに手を繋ぐのは精一杯って可愛いよね!

◇◆2011.09.21



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