目覚めた破壊衝動




「あ、ねぇ…君」

「…、……」

「急にごめん、警戒しないで」


ある日の夕暮れ
ウキョウが一人の青年に声を掛けていた

ウキョウは苦笑、青年は警戒心を持ちながら向かい合う


「君、ナギくんだよね」

「……えぇ、そうですが何か?」

「うーん、なんだろうね」

「は?」


ウキョウは軽く笑いながら青年、ナギを見つめる

ナギは内心『なんだコイツ』と思っていたが面には決して出さなかった


「ナギくんってさ…、……ミネの彼氏、だよね」

「っ」


ミネの名前が出た途端、ナギは警戒心を露骨に表し始める

それにウキョウは苦笑いのまま、肩を竦める


「大丈夫、危害を加えたりしないから」

「ふーん、で?何の用ですか?」

「、ミネに彼氏が出来たって聞いて、どんな子なのかなって」

「………あんたミネが好きなのか?」

「、」


ウキョウは黙ってしまう
ナギにとって無言は肯定だ

眉間にシワを寄せる

すると急に人が変わったようにウキョウがニヤリ、と笑った

ゾクリ、ナギの背中に嫌な汗が流れる


「お前、今の幸せをたっぷり味わっとけよ」

「あ?」

「オレ達がぶっ壊してやっからよ!ミネを奪ったテメェーを絶対許さねーっ」


高笑いをしながらウキョウは去っていく
ナギは俯き震えていた
きっと誰かが見ていたら、恐怖からだと思うだろう



だけど違う



その背中を見送りながらナギは口元を歪めていた


「ククッ、はははっ」


ポツンと一人残ったナギは嘲笑を浮かべる

くしゃり、前髪を掻き上げてもう見えなくなった背中を睨み付けるように前を見据えた


「渡すわけねぇーだろバーカ」


ミネは俺のだ
お前らは今のままと、ただ不変を望んでいただけ
俺は変わることを願った



「また守れないなんて、懲り懲りなんだよ」



小さく悲痛な声が漏れる
ただ彼は彼女の幸せを守りたいだけ
笑顔を、幸せを、彼女の全てを


「やっと見付けて、今度こそ守るって誓ったんだ」



彼がそこまで彼女を守ることに固執する訳とは
彼がそれを彼女に打ち明ける日は来るのか





また一つ歯車が狂った





―――――
まぁ、多くの人にナギくんのことバレてるだろうなー…
いやいいんですけどね!

もうちょいだけお付き合い下さいませ


◇◆2011.11.17



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