私は償いに生きてるの




「ミネ」

「あ、ナギくん」


後ろから声を掛けられた
その声は最近私の彼氏になったナギくん、という前世の兄に似ている人


「一緒に帰ろ?」

「うん!」


柔らかく笑って誘ってくれる、そんなナギくんの笑顔が私は大好きだ

大好きだ、けど罪悪感に苛まれる胸


ずっと一緒にいると言ったのに一人にしてしまったお兄ちゃんへの罪滅ぼしの為に、似ているナギくんを大切にしている
身勝手な私の最低な自己満足


「ミネ?」

「、うん?」

「……大好きだよ」


目を細めながら愛しそうに私を見つめる彼
優しくて温かいナギくん

汚ない私に彼は綺麗過ぎる


だから私は彼の笑顔を守ろう
私が好きだと思った笑顔を、優しい彼の温もりを

守る為に、今を貫き通す


「私も、大好きだよ」

「うん」


満足そうに笑うナギくんに私も、笑う


ちゃんと笑えてるか分からない、けどナギくんが本当に嬉しそうに笑うから、きっと大丈夫

だなんて、どうして思ったんだろう





















それから数日後のこと



「そういえばミネってバイトしてるんだっけ?」


手を繋ぎながら歩く
私達はさっきから周りに微笑ましく見られていた


「うん、冥土の羊ってところで」

「へぇー、確かメイド喫茶だったよな」

「そーだよ」

「じゃあ今度行くね」

「え、」


ナギくんは腰を屈めながらにこり
私はひくり、頬を引き攣らせる

和装メイド服を見られる、なんてちょっと恥ずかしい


「や、やだ」

「なんでー?」

「だって、バイト先にすっごく可愛い先輩が二人もいるんだもん」

「、」

「ナギくんが他の人見るなんて、やだ」

「(かーわーいーいー!!)」


ナギが内心で悶えているのを知らずにミネは不安気に上目でナギを見上げるが、それが尚更ナギのダメージになることをミネは知らない


「大丈夫!」

「きゃ、」


ぎゅっと音が鳴りそうなくらい抱き締められた
私の頭にナギくんがすりすりと頬擦りをしてくる


「あーもう可愛い!大丈夫だよ俺にはミネしか見えてないから!」

「、ナギくん」


私もナギくんを抱き締め返す
甘やかしてくれるナギくん
いつでも優しくて温かく包み込んでくれるナギくん
私を大好きって言ってくれるナギくん


初めて出来た『AMNESIA』という世界を気にしなくていい、私が私でいられる彼の隣という居場所


ドキ、ドキドキ

私ナギくんに惹かれてるのかな、
お兄ちゃんに似ているから?
始まりは確かにそうだった
けど今は?
今私は彼をどう思っている?


ドキドキドキ、ドキ


この胸の鼓動が全てを教えてくれる


『ミネ』に彼氏が出来ても物語に問題はないよね
私が『マイ』の立場だったら問題あったかもしれないけど、『ミネ』だから


だから大丈夫だって思ってた


それが間違いだったなんて、その時の私には気付けなかった






無知だったんだ



影から見ていた人がいて、歯を食いしばっていたなんて
私に彼氏が出来たことで歪んでしまった人達がいたなんて



「あんな男にミネを奪われるなんて…っ……」



そんな呟きが、落とされていたなんて






私には、気付けなかった






―――――
オリキャラのナギくん

てかアムネシアのキャラが出てこなくてすみません!
もう見切り発車で続き物を書いちゃ、ダメですね\(^o^)/アッー

◇◆2011.10.30



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