嘘だと知りつつも




ある、シンとトーマ、イッキのバイトが被っている日
イッキは二人に話を持ち掛けた


「はっ?」

「だから、ミネに彼氏が出来たんだよ」

「ちょっとイッキさん、その冗談笑えないんですけど」


無表情なトーマの言葉にイッキは眉を寄せた


ー―――冗談?冗談でこんなこと言うわけないじゃないか


内心でイッキは舌打ちをし二人をじっと見る
あまりに真剣なアイスブルーの瞳にシンもトーマも口を噤む


「それで、なんで俺たちに…?」

「あれ?シンは冷静だね」

「………別に」


シンは別に冷静ではなかった
あくまで装っているだけ

本当はイッキに詰め寄って問い質したい
だけどそんなのあまりに無様だから


「まあいいや、トーマは僕が言いたい事分かってるでしょ」

「ええ、勿論」


にっこり、場違いな程トーマは穏やかに微笑む


「消しますよ」


声音も随分穏やかだ
それが余計に恐怖を煽る


長年共にいるシンでさえ寒気がした


「イッキさん」

「シン?」

「俺達は何をすればいいわけ」

「あれ?意外と乗り気だね」

「トーマが暴走しないように最善を尽くすのが一番だと思っただけです」

「それもそうだね」


イッキは軽く溜め息を吐く
トーマは言わずもがな、シンもちょっと過激な所がある
味方だと心強いが、もしも敵になると

ぶるり、流石のイッキでも身震いした


「取り敢えず僕のFCにもお願いしといたよ」

「相変わらずやる事早いですね」

「じゃあ俺達やる事ないじゃないですかっ」

「まあ、今は様子見かな」

「……………」


トーマが無言でじっとイッキを見る
その真意を伺うように


「、分かりました」


今度はトーマが溜め息を吐く

そうだ
今は動く時じゃない

まだ自分達は何も知らない
相手も分からない
何より、ミネはどうしてその男と付き合う事にしたんだ


何の為に、どうして、何故、本当に、その男が、好き…?


ドロリ、トーマとシンの胸に黒いものが広がる
ドロリ、ドロリ、どす黒い何かが


身体中に満ちていく





一足先にそれに身を委ねたイッキはクスリッ、口を歪めた





そうだ
まだ、この内の誰かなら、許せたかも知れない

そう、いっそ、冥土の羊の誰かなら、良かったんだ



見ず知らずの男に、自分達の大切な宝物が、汚されるのか



キラキラ光る、宝石すら霞むような綺麗な彼女を



純白のようなミネを



自分達以外の、自分以外の誰かが、汚す





嗚呼、許せない





ドロリ、溢れ出す

ドロリ、ドロリ、黒い靄が

ドロリ、彼等を狂気に変えて

ドロリ、溢れ出す





―――――
あう、意味不明ェ…
あれだ、某ドラマ見ながら書いたからだ←

最近後書きが投げ遣りだと思うのは、その、き、気のせいだよ!

◇◆2011.10.09


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