足元に散らばったカケラたち




放課後、紅く染め上げる屋上
私と、クラスメイトの彼
彼の頬が赤いのは夕日のせいか
はたまた、私のせい、か


「ミネの事が好きだ」

「、」

「俺と付き合って欲しい」


毅然とした態度なのにやっぱりその頬は赤く
何だかそれが可愛くみえた


「ねえ」

「なに?」

「私の何処が好きなの?」


純粋な疑問
彼とは特別仲が良かったわけじゃない


「なんで?」

「好きになるのに理由なんている?」

「え、」

「ミネだから、じゃダメ?」

「…っ……」





―――――――――
「お兄ちゃん!」

「ん?」

「私のこと好き?」

「好きだよ」

「なんで?何処が?」

「えー…ミネだから」

「?」

「ミネだから好き、じゃダメ?」

「ううん!私もお兄ちゃんだからお兄ちゃんが大好き!」
―――――――――





「、」


前世の映像がフラッシュバックする

兄と私

いつも一緒にいてくれた
傍にいてくれた
なのに、私は兄から離れてしまった


いくら謝罪しても懺悔しても後悔しても贖罪しても悲しんでも苦しんでも許しを、乞うても


兄には、届かない
届いてくれない


「ミネ、返事をくれないか」

「、あ」


目の前には兄と似たことを言ったクラスメイト
何処と無く、兄に似てる彼


「、うん」

「……え」

「付き合おう、」

「っ、本当に」

「うん」


私が笑顔で頷くと彼は嬉しそうに顔を綻ばせた

なんで、頷いたんだろう

頭の片隅で自分に問い掛ける


きっと兄に縋りたかった
だけどもう、私の傍に兄はいないから


似てる彼に兄を重ねたんだろう


最低なことをしてるって分かってはいるが、嬉しそうに笑う彼に私の胸が一瞬跳ねたのも、また事実












「〜♪〜♪〜♪」

「ミネ、ご機嫌だね」

「あ、イッキさん」


今はバイト中だ、って言ってもお客さまはリカさんとウキョウさんしかいない


「何かあったの?」

「えへへ」

「本当にご機嫌だね。でもミネが嬉しそうだと俺まで嬉しくなるよ」

「そうですわね。でもミネをそんなに喜ばせるものってなんですの?気になりますわ」

「あ、それは僕も気になる」


三人の目が一斉に私を見つめる
何だか照れ臭くて、頬が熱くなってしまい俯く


「、ミネ?」

「実は、彼氏が出来たんです」




――――ガシャーーーンッッ





「わっ!リカさん大丈夫ですか!?」

「…、……そんな」

「リカさん…?」

「え、えぇ…大丈夫、」

「良かった…イッキさんお絞りをお願いしても良いですか?」

「、」

「……イッキさん?」

「、うん…直ぐに取ってくる」

「ミネ、」

「ウキョウさん?」

「俺、今日はもう、帰るよ」

「え、もうですか?」

「ごめん、代金はここに置いとく…じゃあまた」

「あ、ウキョウさん!」


止める暇もなく彼は出ていってしまった

店のドアを首を傾げながら見ていたが直ぐにリカさんに視線を戻す

彼女の服が濡れてないか確認しようとしたらイッキさんが戻ってきた


「ああミネ」

「はい?」

「裏から箒と塵取り持って来てくれる?カップの破片を素手で触ったら危ないでしょ」

「はーい」


でもお絞りと一緒に持って来てくれたら良かったのに、と思いつつリカさんにお辞儀して裏に向かう





「あれー、ない…」


何処を探しても箒と塵取りがない
いつもは掃除用具入れにある筈なのに、何故かない


「うーん、何処にあるんだろう…」


ずっと箒と塵取りを探していた私は気付かなかった
イッキさんとリカさんがしていた会話に












「リカ」

「分かっていますわ」

「ミネが汚されてしまう前にっ」

「私達のミネを奪うなんて愚かな男に制裁を」

「うん、彼女は僕の、僕達のものなんだ…冥土の羊の大切な宝物、あの子の笑顔を誰にも奪われてはいけない、奪わさせはしない」

「勿論ですわ…」

「ずっと僕は、彼たちも我慢していたんだ…ミネが笑うから、幸せそうに笑ってるから、だから想いを伝えるべきではないって」

「……えぇ」

「なのに!僕達の葛藤なんて知らない男がっ、ミネに想いを伝えて、結ばれるなんて!許されるの…っ」

「許される訳ないですわ、」

「そう、そうだよね…許される訳がない」

「イッキさま」

「うん、分かってる」

「ミネの笑顔を奪う男、私達の幸せを奪う男」

「……消さなくちゃね」












壊れたものは、なに?

カップだった?いや、違う



壊れたのは彼らの心



大切な宝物を奪われたせいで脆く崩れやすかった彼らの心が、ガラガラと音を立てるように崩れた



彼らの心が元に戻るには、彼らの宝物が取り戻せた時
彼女が彼らだけに笑い掛けること

そうすれば彼らは救われる



近い未来、彼らはどう動くか
彼女の想いの行き先は?
此方の世界で初めて出来た彼氏との行方は?





行き過ぎた想いは何処へ行くのだろうか





―――――
やりたかったプチ続編
続きます!
てか男の子の名前考えてない\(^o^)/

まあいいや
直感で行こう!

◇◆2011.10.05


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