「お帰りなさいませ!ご主人様」
「しーーらゆきっちーーーー!!!!!もーーーちょーーかわいいっス!!!!!」
白雪がいつも通り働いていたバイト先に馴染みである面々がやって来た
可愛らしい笑みを浮かべお決まりの台詞を言う白雪にその内の一人、黄瀬が抱き着く
「?!黄瀬くん、」
「ああんもう本当に可愛いっス!!!白雪っち白雪っち、白雪っちに会えなかった二時間寂しかったっスよー…毎日毎分毎秒、白雪っちに会っていたいっス!!」
スリスリと白雪の頭に頬擦りをしながらそんなことを言う黄瀬に周りは酷く冷たい目をしていた。そんな中黄瀬の腕から白雪が離される
「お客様、メイドへのセクハラはやめて下さい」
「は?んなことより白雪っちを離せよ。トーマさん」
黄瀬から白雪を離したのはトーマだった。白雪の肩を庇うように抱き綺麗な笑顔を浮かべながら黄瀬と対峙する
「"うちの"大切な従業員がセクハラされるのを黙って見ていられませんので」
「(ピクッ)でも"俺らの"白雪っちとの再会を邪魔するのもどうかと思うっスよー…あ、もしかして嫉妬っスか?」
お互い笑顔を浮かべているが目は決して笑っていなかった。射殺さんばかりに相手を睨み付けている
「「(しかも色被ってんじゃねぇよ!!)」」
「白雪ちゃん、危ないからこっちにおいで」
くいっと二人の元から離すようにイッキが白雪の腕を引く。そして自然な動作で腰元に手を回そうとしたら、制されていた
「従業員が従業員にセクハラするのもどうかと思いますよ」
左目を隠す程前髪が長く、艶やかな黒髪に右目下にある泣き黒子。逆の涼しげに細められた右目がイッキを見る。その目は確かに敵意を含んでいた
イッキもアイスブルーの双眸をスッと細める
「セクハラなんかじゃないさ。スキンシップだよ?氷室くん」
「そうですか。都合のいい言葉ですね。スキンシップって」
「君は綺麗な顔をしているのにとてもいい性格をしているね」
「よく言われます。貴方は見た目通り手が早いみたいで尊敬すらしますよ」
二人はニコニコとしているのにその整った唇から吐かれる言葉は刺々しく辛辣でとても冷たかった。けれど白雪が二人を無意識の上目遣いで見上げると一変。その目許には甘く熱が含まれる
氷室が白雪の両頬を包み鼻先に一つ口付けを落とす。負けじとイッキも後ろから白雪の肩を抱き頭にちゅ、と可愛らしいリップ音を立てて口付けを落とした
「可愛い白雪ちゃん。今日は一段と素敵だね。こんなメイドさんがいたら俺は一日中離さないできっと部屋に籠もっちゃうな。一日中、可愛いメイドさんを愛でて、甘やかして、愛して。絶対に離さないし誰にも引き離されない、その部屋を俺と白雪ちゃんだけの二人の世界にするんだ」
「僕も可愛い君を毎日独り占めにして沢山愛情を注いでいたい。僕が君の身の回りのお世話を全部するんだ。着替えも髪を梳くのも場所の移動もお風呂もご飯も、全部僕がやってあげる。君は何もしなくていいんだ。全部僕にやらせて?」
ありったけの想いを込め熱に浮かされた双眸で二人は白雪を見つめる。どこまでも甘く笑う麗しい二人に迫られたら、普通だったらきっと女の子は直ぐに堕ちてしまうだろう。けれど白雪は普通ではなかった
「(きゃーーー向こうでマイさんとシンくんが二人で喋ってる!!シン主キタコレ!!あああここにトーマさんがいれば幼馴染みのトライアングルが出来上がるのに…!トーマさんは今、あ、黄瀬くんと喋ってる……って、まさか、黄×トーマ(逆でも可)だと……さ、さすが混合世界…!世界を越えるCP!全然ありです…!)」
本当に、普通ではなかった
「ッチ」
「シンも白雪ちゃんのところに行きたいなら行けばいいのに」
「別にいいよ。どうせ今行ったところで他の奴に阻まれるんだし。だったら白雪が一人でいる時に行く」
「ふーん。私は今日白雪ちゃんとお泊まりの約束してるんだ」
「は?」
「一緒にご飯食べて一緒にお風呂に入って一緒に寝るの!いいでしょ!女の子の特権」
「ッチ」
―――――
思ったより男性陣がヤンデレに……黄瀬とトーマもそうだけど、何故か氷室さんとイッキが酷くなった…
でも書いてて楽しかったです!
気力+ネタが思い浮かべばまた書きたいと思います\(^o^)/