今日は家に狩屋くんを呼び、休日を二人で過ごしていた。初めのうちはお互いに話題があり盛り上がっていたものの、次第に口数が少なくなっていった。私は雑誌を適当にめくって、狩屋くんはベッドに寝転がりマンガを読んでいる。無言の時間は嫌いではないけれど、でも、せっかく二人きりなのにこのまま一日が終わってしまったら寂しい。狩屋くんは雷門サッカー部として忙しい日々を送っているから、こうした休日は貴重なのだ。
(あ、そうだ!あれがあった!)
私はDVDを取り出してテレビにセットした。リモコンを操作して再生ボタンを押す。
『ハンターズネット!!』
「うわっ!……何見てんの?」
狩屋くんが顔を上げこちらを見た。
「試合を録画したやつ。ほら、狩屋くんすごく活躍してる!」
「ふーん」
「み、見ないの…?」
「だって試合後は分析するためにいつも見てるから、見飽きた」
と、またマンガに視線を戻す。
(私とマンガ、どっちが大事なの!?……なんて本気で思う日が来るなんて…)
仕方ないから開き直って試合を見ることにした。再び狩屋くんのハンターズネットが映る。やっぱりかっこいい。
ふと、あることに気付いた。


「狩屋くん、ちょっと片手貸して!」
「な、何するんだよ!」
「マニキュア塗りたいの」
「いやそれって女が使うものじゃん」
「まあまあ…」
狩屋くんの女の子ファンは多い。狩屋くんが技を使うと黄色い悲鳴が一際大きくなるということに気付いてしまったのだ。
(だからこの赤いマニキュアで、狩屋くんは私のもの、って証拠にしたいな……)
小さな独占欲に気付いて少し恥ずかしくなった。マニキュアを持つ手が一瞬止まる。
その隙にマニキュアが奪われてしまった。
「あ…!」
狩屋くんはにやりと笑ってマニキュアをベッドの脇の机に置いた。赤色がゆらりと揺れる。
「これで俺の爪を赤くしたかったわけ?」
「うん……。か、かか、狩屋くんが、私の、も、ものだって、見せ、……ん!?」
急に腕を引っ張られた。それからぐるりと視界が回ったかと思えば、ぐんと顔が近い。
「!!」
パニックで瞬きを繰り返していたら、瞼に柔らかいものが触れた。狩屋くんの、唇だ。
「お前、ほんとにバカ。襲われたいわけ?」
「ち、違うもん!」
「俺の爪より先に、お前の顔をもっと赤くしてやるよ」
そう言った狩屋くんの表情が、やらしい事をしてるときのえっちな顔だったから、私の身体は一気に熱くなった。
「は、れんち、だよ……」
「破廉恥でごめんな」
狩屋くんは舌なめずりをして私の唇に噛み付いた。



息がまともにできません
「狩屋、どうしてマニキュアをしているんだ?」「霧野先輩には死んでも言いませんよ」「……」





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -