両親が共働きで帰りが遅くて良かった、と強く思う。新しい制服は破れ、体中には新しく青黒い痣が出きて。転校初日からこんな姿になったなんて見せられたものじゃない。
と、いうか…私は散々な場所に来てしまったようだ。部屋に幽霊は出るし、クラスではいきなりいじめを受けたし。何だろう、この地域には悪いものが溜まっているんじゃないか?
「ただいま…」
玄関のドアを開くと同時にトントントンと階段を駆け降りる音がした。泥棒かと身構えたがそれは無用だったようで、倒れ込むように私に抱き着いてきた(振りをする)少年を見て納得した。
「おかえり夢子!」
「た、ただいま…。やけに元気そうだけど?」
「やっと帰って来たから嬉し……、それ、どうしたの?」
やっぱり聞かれると思った。
シュウは目の色を変えて私の身なりや怪我について問いただした。
「別に、転んだだけだし」
「でも……「転んだだけだから!!自転車、乗ってたら…、バランス崩して派手に転んじゃって。その時に、制服も破れちゃった」
心配そうにしていたシュウは私の言い訳に何かを察してくれたのかは分からないけれど、とにかく安心した素振りをみせて微笑んだ。
「痣の内出血を抑えるために早く冷やそう。だからまず台所へ行って氷を使ってもいいかな。ああ、でも傷が出来ていたら冷やす前に水で洗ってから消毒をしないとね。救急箱はどこにあるの?用意しておくよ」
「わ、分かった」
冷静なシュウの対応に驚きつつ感謝した。あんなことをされて少なからずショックを受けていた私は、痣を冷やすことなんてすっかり頭に無かったのだ。
「あれ?そういえばシュウって部屋から出られないんじゃなかったっけ」
「そ、れは…えっと……」
シュウは即座に視線を反らした。分かりやすいやつめ。
「怒らないから言ってごらん?」
「……昨晩、夢子が寝ている時に、…ほんの少しだけ、本当に少しだけ、精力を頂戴したら出られるようになったんだ、って、そんな顔しないでよ…!怒らないって言ったじゃないか〜!!」
「逃げるつもり?待ちなさーいっ!!い、痛い!」
悲しいことにシュウを追い掛けようと踏み出した痣だらけの右足が悲鳴を上げ、私は無残にもその場に倒れたのであった。







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