「えっと……、夢野夢子です。よろしくお願いします」
新しいクラスはやっぱり馴染み難かった。何しろ初めて教室に入ったときから空気が淀んでいるのが一瞬で分かったくらいだから。しかも、不思議なことにクラスメイトはどんなときもやる気の無さそうな目をしている。私はまだ彼らの笑顔を見たことがない。
どこか可笑しいのだ、このクラスは。

終礼が終わると私は一刻も早く教室を出たかったため素早く鞄を手に取った。こんな学校生活なら一日中部屋でシュウと喋っていた方が数百倍ましだ。
しかし、突然に私は腕を掴まれた。振り向くと可愛らしい三つ編みの女の子が微笑んでいる。やっと笑う人に会えたと思ったが、腕を強い力で掴まれていることに違和感を感じる。
「夢野さん、もう帰っちゃうの?」
「えっ……」
自分の小さな声が教室に響いて我に返ると、クラスメイト達は皆、黙ってこちらを見つめている。静かなる教室と異様な雰囲気に恐怖を感じ鳥肌が立った。

「少し遊んで帰りましょう?」

その一言を始めに女子も男子も一斉に集まってきた。何十本もの腕が私に伸びようというとき、私は見逃さなかった。一度も笑わなかった彼らが心底楽しそうに笑っているのを。







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