今日はエイプリルフール。みんな、思っていることと逆のことを言うらしい。
「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い」
そんな中でクラスの女の子に嫌いと言い続けている男がいた。吹雪士郎くんだ。女の子という女の子からいつも、黄色い悲鳴を浴びている。ちなみに、私は少し苦手である。
「今日は4月1日だから、嫌いは好きってことだよね」
「そうだよ」
にこにこと笑う吹雪くん。
吹雪くんは氷上をくるくると滑るみたいにみんなの間を進む。私は椅子に座って、その様子をぼんやりと眺めていた。
すると、吹雪くんは私の目の前にもやってきた。

「好き」




「……ふーん、」
ということは、私のことが嫌いなのか。
まあ別にいいけど。
ちらりと吹雪くんを見ると、彼は驚いている。私がもっと違った反応をするとでも思ってたの。
でもすぐに笑顔になって言った。
「今日が4月1日じゃなくても、僕は君に好きって言うよ」
「なっ……」
顔が熱くなる。吹雪くん、それって、どういうこと?もしかして、……ううん、そんなの有り得ない。

「な、なに言ってるの、ふぶ、きくん…」
何だか恥ずかしくなって目を逸らす。
一瞬でも、もしかしてだなんて思ってしまった自分がバカみたい。





(どうせエイプリルフールの嘘にきまってる)(でも吹雪くんは次の日も私に好きと言った)






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