「張良さん張良さん張良さーんっ!!」
ばたばたと駆ける足音と喧しい声が近付いてきた。ああもう、私が読書しているのが分からないのか?静かにしてほしいものだ。と思ったと同時に背中に衝撃がきた。
「いたっ…」
本を閉じて後ろを振り返るとその衝撃の原因は案の定夢子だった。私に抱きついて満面の笑みで見上げてくるのだが、何が可笑しいのか全く分からない。鬱陶しいので振り払おうとするもなかなか離れてくれない。そこで変わらず笑顔の夢子に向かって睨み返してみる。が、離れない。
「何がしたいのだ」
「別に、たいした理由はないよ」
「私は忙しい。誰かにかまってもらいたいというのなら、夏侯嬰がいるじゃないか。夏侯嬰はお前の兄のようなものだろう?」
「え〜兄さまは馬臭くていや。張良さんは知らないかもしれないけれど、嫺嫺って嫉妬深いし」
「ならば韓信はどうだ」
「うーん、何でか分からないけど韓信さんは私を見ると逃げるんだよ」
確かに、こんな活発な娘を前にしたら臆病者の韓信が逃げるのも無理はない。
「ともかく、私は張良さんがいいの!張良さんは優しいんだもん!!」
「……。そこまで言うのなら暫くそのままでよい。だが、私の邪魔はするな」
「はーいっ!」




「うむむ…張良さんって本当に良い匂いがする。甘い匂いがする」
「風呂に入るとき花を浮かべているからだろうな」
「ええええ!!張良さんってば乙女!!!」
「うるさい!!」




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