カシャッ!

本日182枚目の夢子ちゃんの写メだ。友人と楽しそうにお昼ご飯を食べている夢子ちゃん。ああなんて可愛いらしい笑顔、ああなんて愛らしい仕草。夢子ちゃんの全てが輝いて見える!あ、今の可愛い。カシャッ!本日183枚目の写メは恥ずかしそうに赤くなった顔を隠す夢子ちゃんだ。どんな話をしてるのかすごく気になる。俺の前でもあんな表情させてみたい。でも俺は夢子ちゃんと話したことすら…。あああああ夢子ちゃんと話してみたいな!!いつもこうやって離れた所から見守ることしかできないなんて切なすぎる。誰か俺に夢子ちゃんと話すきっかけを「ヒロト、」くれないかなあ。でもやっぱり自分で「おい、ヒロト!!」
「え?あ、風丸くん!」
「顔が緩みっぱなしだったぞ?ほらちゃんとよだれ拭け」
「ああ、ありがとう」
風丸くんは優しいけど少しお節介なところがある。そのお節介さを俺の恋に関しても発揮してほしいよ。
「また夢野の盗撮か?」
「盗撮?風丸くんたら失礼だなあ。道端に可愛い花が咲いていたら写真を撮りたくなるでしょ?それと同じだよ。ほら見て、夢子ちゃんのあのえが…ああああやっぱり見るな!!夢子ちゃんの笑顔は俺だけのものなんだから!!!」
「全く、基山は救いようのない変態だな…」
「何か言った?」
「いいや何も」




カシャッ!

本日81枚目の基山くんの写メはサッカー部の練習試合でドリブルをしている様子だ。ああああどうしよう真剣な表情で前を見据えて走る基山くんがきらきらして見える。あの翡翠色の目で見つめられたら私、恥ずかしすぎて死んじゃう。ああでも死ぬ前に見る顔が基山くんならすごく幸せ。最高に幸せな人生の終わり方じゃない!!あ、これはもしかしてスライディングするかも。カシャッ!よし本日82枚目の写メはスライディングしてる基山くん。さらさらの赤い髪が揺れてかっこいい。いつかあの髪に触ってみたいな。基山くんの髪ってさらさらだね、なんて話しかけながら。ああああでも私はまだ基山くんと話したことすらないのにどうすればいいんだろう。サッカー部のマネージャーに「夢野、」なってみようかな。うーん、でもマネージャーってある程度サッカーができなきゃいけな「おい、夢野!」
「わわ、風丸くんじゃない!びっくりさせないでよ…」
「ああ、すまない。でもお前思ってること声に出てたから注意しようと思って」
「ほ、本当!?うわ…恥ずかしい…。教えてくれてありがとう」
幼なじみの風丸は面倒見が良くて優しい。でもサッカー部じゃなくどうしてここにいるのかな…。私の思ってることを感じ取ったのか風丸が言った。
「今日は委員会で遅れちゃってこれから部活なんだ。ところで…そんなにヒロトが見たいのならベンチに来るか?」
「うん!!お言葉に甘えます!あ、ちょっと待って」
カシャッ!
「ねえ見た?さっきの基山くんのロングパス。蹴り上げた足が色っぽい…。そういえばサッカーしてるってことは足の力強いんだよね?ということはあの足で蹴られたらさぞかし気持ち良いん…ああああああ何でもない!!!さっきの発言はなかったことにして!冗談だからね!!」
「分かった分かった、さあそんなことより早くグラウンドの近くまで行こうぜ」
「うん!」





青春真っ盛りな話
「――2番風丸一郎太、18番基山ヒロト交代!」
(よし、話せるきっかけができた!)
(基山くんが走ってくる…どうしよう緊張してきちゃった!!)






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