ヒロトはカッコいい。紅色のサラサラな髪の毛も澄んだ瞳も、仲間思いなその性格も。マネージャーの私はいつもヒロトを見ていられる。だけどその所為か私は本当にヒロトしか見ていないらしい。今日も春奈ちゃんに「夢野先輩は基山先輩のマネージャーじゃなくてイナズマジャパンのマネージャーなんですよ!!」って言われた。自分では全然意識していないところがまた恥ずかしい。でも仕方ないじゃない!私はヒロトと付き合っているのだから。
「おーい夢子!!」
「もう練習終わったの?」
「違うけどさ、夢子に会いたかったから」
ヒロトは不意打ちで甘い言葉を言うからズルい。私は赤くなった顔を見られたくないが為に俯いて「私も会いたかった」と呟いた。
「ねぇ俺今日頑張ってるよね」
「うん。沢山シュートしてたし、新しい必殺技も完成しそうだし」
「じゃあご褒美頂戴?」
「い、いいい今っ!?」
「そうだよ」
ご褒美頂戴、は私とヒロトが決めた合図のこと。因みに「ご褒美=キス」だ。私は慌てて首を横に振ったのだが、確かにヒロトは頑張ってたし合図は守るという約束もあったので私はヒロトのほっぺにキスをした。
「あれ?ここじゃないの」とヒロトは自分の唇を指差す。
「……分かったよ。でも…1回だけ、だからね?」
顔から湯気が出るんじゃないかってぐらい恥ずかしい。でも、するって言っちゃったから今度は唇にキスをした。
「みんな待ってるだろうからそろそろ練習に……ひゃっ!?」
突然ペロリと首筋を舐められた。思わず高い声が出てしまう。
「俺からのご褒美は何回でもいいでしょ夢子?」
「そんなの…んっ……」
言い返そうとしたところをキスされる。近い、ヒロトの瞳にキスをされている私の顔が映っている。フレンチキスを何度もされて私は抱き締められた。
「夢子、大好き」
「わ、私も大好き。あ…いしてる……」
その時風丸くんが傍に来て私達に話しかけた。
「お前らほんとに自重してくれよ…。こっちが恥ずかしくなる」
「あぁ、風丸くん羨ましいんでしょ。……ねぇ夢子、見せつけちゃおうか」
「えっ?」
ヒロトは風丸くんの前でいきなり私にキスをした。そして薄く開いた唇を割って舌を中へ入れた。
「んぅ……ぁ…ふぁ……」
ヒロトの舌が歯列をなぞり、私の舌と絡みあう。風丸くんに見られているのもあって、いつもより気持ち良く感じてしまう。
「ひ…ろとぉ……あっ…やぁ……」
目尻に生理的な涙がたまってきたところでヒロトは唇を話して風丸くんに言った。
「ごめん、俺たちベッドに行かなくちゃ」
「この、変態が!!」
風丸くんはすごく顔を真っ赤にして叫び、走っていった。……顔が熱い。私もあれくらい顔が赤くなっているのだろうか。
「さぁ、保健室にでも行こうか」
体が宙に浮いたと思ったら私はヒロトにお姫様抱っこをされていた。
「待って、ちょっと待ってってばっ…!!」
「君に拒否権はないよ?」
みんなからの視線が痛い。
ああ誰か、私の彼氏をとめてください!!!