アルゼンチン戦が終わってからのヒロトは酷く落ち込んでいた。キャプテンやチームメイトの前ではいつもの笑顔を見せるのに、一人のときは暗い顔をしているように見える。
それが気になってしょうがなかった私は、ヒロトの部屋に向かった。

「入ってもいい?」
「…うん」
ドアを開けるとヒロトはベッドに座っていた。明るい笑顔で私を迎えてくれたけど、本当は泣きたかったのかもしれない。だって目と鼻が赤くなってるから。
「どうしたの?」
「あ、えっと…今日の……」
ああもう私の馬鹿。肝心なときに何も言えない。ヒロトの力になりたいのは確かだけど、どうすればいいのか分からない。
「夢子ちゃん…?」
顔を覗き込んでくるヒロトの目をしっかりと見た。深く息を吸って息を吐く。
「…今日の試合お疲れ様。結果は残念だけど、ヒロトの指揮があったからこそ1点入れられたんだと思う。すごく素敵だった」
「……」
ヒロトは下を向きながら私の話をじっと聞いている。

「…でもさ、やっぱり悔しいよね」
「っ……」
バッと顔をあげたヒロトは、今にも泣きそうだった。でも一生懸命に涙をこらえていた。
「なみだ、我慢しなくていいから。思いっきり泣いていいよ」
手をゆっくりと伸ばしてヒロトの肩を抱くと、素直に体をまかせてくれた。頭を肩に押し付けて泣くヒロトを優しく撫でる。
「うっ……ひっく、…うう……。……うわああああっ……!!!!!」
大声をあげて泣きじゃくるヒロトなんて初めてみた。それはきっと、沢山の悲しいことや苦しいことを我慢してきた証拠。ヒロトの馬鹿。強がらなくていいんだから。

「また何かあったら…私に言ってね。遠慮しないでいいよ」


(その夜はは綺麗な流星が見れた。もしかして、ヒロトが泣くと流星が落ちるのかな)






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