今頃風丸は何をしているんだろう。日本代表に選ばれたプレッシャーで悩んでいたらどうしよう。
……なんて、保護者みたいなこと考えてしまったけど、私は風丸の保護者ではなく彼女だ。つまり、日本にいる私とライオコット島の彼とは遠距離恋愛中。しかも、風丸の声が聞きたくなったとしても、海外通話は高いからって電話しちゃいけないことになっている。
「はぁ〜、風丸はいつ帰って来るのかな…」
大きなため息をつく。最近はため息ばかりついている気がする。ため息とお友達になっちゃったみたい。これからもよろしくね、ため息さん!
……。なんてくだらないことを考えているんだ私は。


気がつくと私は机に俯せて寝ていた。窓から差し込む夕陽が眩しい。大きく伸びをしようとして手を広げると、何かが床に落ちた。
「ん…?イタリアの写真みたいだけど何だろ」
それはイタリアのゴンドラが写っている写真だった。川はキラキラ光っていて、ゴンドラ漕ぎは陽気に歌っているようだ。とても楽しそうな写真に思わず笑顔が出る。
ちらりと机の上を見ると、葉書来てたよと書いてあるメモがあった。
「葉書って……。…!!!」
すぐに裏返すとびっしりと文字が書かれていた。もしかしてと思い差出人の名前を見るとやっぱり風丸だった。
「か、風丸からだ!!風丸!?本当に風丸から?」
嬉しいのと驚いたのがごちゃごちゃになって部屋の中を跳び回った。もう中学生だっていうのに私ってば小学生みたいだ。
震える指で葉書に書かれた文字をなぞる。
「写真はライオコット島のイタリアエリアだ。今度ゴンドラに乗ってみようと思う」
声に出して葉書を読んでいく。指だけじゃなくて、声も震えてるみたい。


「今日はどんな日だったか?…俺は淋しかった。夢子がいないから、寂しかった」






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