今日はイナズマジャパンとの親睦パーティーだ。もちろん私は選手ではない。だけどナイツオブクイーンでたった一人のマネージャーだから、参加していいことになった。
「夢子、遅れるから早くしろ。遅刻したらみっともないだろう?」
「はーい。…って、エ、エドガーっ!!!!」
「なんだ」
「あ、いや……ごめん。何でもない」
「用もないのに私を呼ぶな。では、パーティー会場で」
エドガーの後ろ姿を見送ってから私はその場に座り込んでしまった。だってタキシードは反則だ。素敵すぎる。とても私と同年齢と思えないほど大人っぽい。
…心臓の音がうるさくて緊張してサンダルが上手く履けない。つまづきながらも私は、走って会場に向かった。

「夢子こっちだ!」
「フィリップ、それにチームのみんな!!」
仲間達がかたまって喋っていたので私も入れてもらうことにした。しかしエドガーがいない。どうしたんだろう。
「ねえ、エドガー知らない?」
「キャプテン?い、いないよ」
「エドガーなら……、いや、知らない」
誰に聞いてもエドガーがどこにいるか分からないという。しかも何だか様子がおかしい。
「フィリップ、本当に知らないの?」
肩を掴んで強く言うと、一瞬右を見てから知らないと言われた。ちらりとフィリップの見た方向を見るとエドガーが誰かと話している。
「なんだ、いるじゃない」

エドガーに近づくと、彼は日本人の女の子と話しているのが分かった。女の子はとても可愛らしくて、悔しいけどお似合いだ。
「エドガー!!さっきフィリップが呼んでたよ」
「ああ、分かった。――すみません、ではまた」
エドガーは女の子に一言いってからフィリップの方へ歩いていった。ごめんねフィリップ、本当は呼んでなかったのに。でもこれで一安心。ふぅと息をついた時だった。

「エドガーさんのこと、好きなんですね」
「……!!」
突然さっきの彼女が話しかけてきた。初対面なのに…。
「ち、違います!全然そんなこと、な、ないです!!」
図星だったから舌を噛んでしまった。気を紛らわすために、持っていたキャラメルソーダをいっきに飲み干す。
「ふふっ、彼と同じ」
「え?」
「貴方、ナイツオブクイーンのマネージャーさんでしょ?」
「…はい、」
「彼、エドガーさんは私がマネージャーだって知った途端に貴方の話ばかりなんです。全然仕事は出来ないくせに応援の声は人一倍、だとか」
彼女は私を見て小さく微笑んだ。
「それで、その人のことよく知ってるんですね、好きなんですか?って言ったらさっきの貴方みたいに慌てて首を振るんです。見た目は大人っぽいのに中学生らしいとこあるんだな、て思っちゃいました」
「……」
恥ずかしいのと驚いたので何も言えない。でも彼女の話だと、エドガーも私を好きってこと?……ううん、自惚れちゃいけない。そんなことあるわけない。
「ほら、彼こっち気にしてます。…行ってあげたら?」
……そうね、たとえエドガーが私をただのマネージャーだと思っていたとしても、恋は前進あるのみ!!チャンスの神は前髪しかないのだから。
「うん、ありがとう!…私は夢野夢子。貴方は?」
「私の名前は、久遠冬花」
「じゃあ明日の試合で会いましょう!」
「うん、またね夢子ちゃん」

小走りでエドガーがいる場所に駆けていく。両手にはそれぞれ、飲み物が入ったグラスを持って。
「エドガー!!」
「どうしたんだ?」
「一緒に話したくて!……あと、これ飲んでみて?キャラメルソーダって美味しいんだよ」



キャラメルソーダに溶かした
私の気持ち




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -