桜の花びらがひらりと芝生に舞い降りた。学園で一番大きなこの桜の木は、今日も中庭で堂々と根を張っている。
私はこの学園でニ回目の春を迎えた。


星がきれいに見える田舎の、大きな森の中に建っている全寮制の学校――それが閃影女子学園だった。
敷地は背の高い塀で囲まれていて中は一切見えない。外から見ると軍事機密基地かと勘違いする人が多いが、実は女子校だ。有名財閥の娘や大企業の社長の娘など、日本全国から集まった特別な立場の女の子が在学している。
私にとってこの学園に入学し一年を終えることができたのは、奇跡だったと言っても過言ではない。なぜなら私はこの小さい田舎町の町長の娘、という立場だからだ。つまり簡単に言えば、地元代表。
地元代表という理由で入学したので、冷ややかな視線で見られるかと思っていた。しかしそれは間違いで、クラスメイトは皆とても優しかった。中でも特に仲が良いのは音無春奈ちゃんだ。春奈ちゃんはあの鬼道財閥の娘として在学している。実は複雑な家庭事情を持っているのだが、それを感じさせないほど明るい女の子だ。
「夢子ちゃん!始業式始まっちゃうよ〜」
学生寮のベランダから春奈ちゃんが顔を出して私を呼んだ。
「うん!すぐ行くね!!」


春奈ちゃんと共に講堂へ向かうと、すでに多くの生徒がいた。私達は慌てて空いている席に座った。
やがて始業式が始まった。新学期の心得や諸注意などやっぱりいつも通りの話だ。
しかし学長は最後に、いつもと違う驚くべきことを言った。

「――では、転校生を紹介します」




踊る薄紅、歌う春色、



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