君にお返しは何がいいの?

バレンタインデーに秘書名無しから、チョコを貰った大吾。チラッと机にあるミニカレンダーを見る。3月14日はホワイトデー。
何も準備してなかった大吾は、頭の中で考えた。
恋人でもなく秘書。
しかも名無しの事は、あまり知らなかった。
キャバ嬢の女だったら、ブランドの服やら、バックでもあげれば喜ぶだろう。
名無しがブランドで喜ぶだろうか?見た事がない。誰かに探りでも頼むか、自分で探ってみるか、単刀直入に聞くか迷っていると、コンコンとノック音。
「入れ」
ガチャと部屋に入ってきたのは、秘書名無し。
「会長。書類追加です。後珈琲いかがですか?」
「あぁ。頼む」
「かしこ参りました。お待ちください」
軽くペコとお辞儀して、部屋を出た名無し。
ペンを机に置いて、ソファに移動する。
名無しが珈琲を持ってきた時、単刀直入に聞こう決めた。
こそこそ探るより、はっきり聞いた方が、名無しの事も少しは分かると思ったからだ。
コンコンとノック音。
返事をすると、名無しがお盆を持って入ってきた。
「お待たせしました」
「ありがとう。そうだ名無し」
「はい。なんでしょうか」
「名無しにバレンタインデーのお返しをしたいと思っている。好きな物とかあるか?」
「えっ」
「何でもいい。遠慮なんかいいから、言ってくれ」
「えっと……ご、ご飯でもいいですか」
「あぁ」
「会長と一緒に行きたい店があるんです!行ってくれますか?」
「お返しは、それでいいのか?物でもいいが」
「店でいいです。あ、あと……」
「ん?」
「私服でお願いします!!」
「私服?分かった」
私服で、名無しの行きたい店に行く事に決定した。
「あ、ありがとうございます。今から楽しみです」

笑顔で部屋を出た名無しに、単刀直入に聞いてよかったと思った大吾なのでした。

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