金魚すくい

暑い日が続くなか、彼女の名無しと祭に行くことになった。名無しと、最近買い換えたスマホでやり取りして、待ち合わせの場所を決め、その場所に急いで向かう。待ち合わせの場所に着くと、名無しは、男どもに囲まれていた。
「あの……待ち合わせしてて……」
「いいじゃん〜。俺らと遊ぼうよ」
「面白い所知ってるからよ」
「やっ……大吾さん!」
「お前ら……俺の女に何しやがる!」
「ん?何?このオッサン」
「おい!あれ東城会のバッチだぞ」
「やべっ!行くか」
男どもは逃げた。
「遅くなったな名無し。大丈夫か?」
「ありがとうごさいます。大丈夫です」
「良かった。行くか」
待たせてある車に乗り、祭がやってる会場に向かう。
「名無し可愛い浴衣だな」
「恥ずかしいです……」
「そんなことない。よく似合ってる」
「ありがとうございます」
照れる名無しの頭を優しく撫でると、顔が赤くなる。


祭会場に到着して、人混みの中出店を回り、祭を楽しんだ。金魚すくいの店の近くで。
「大吾さん!金魚すくいやりませんか?」
「ん?あぁ」
あまり得意じゃない俺だけど、笑顔で「やりたい」なんて、駄目とは言えない。
オッサンに、100円玉二つ渡す。
「(ポイってすぐ破けるんだよな)」
「大吾さん!見て!二匹目」
「!?」
なんで!?名無し上手い!くそ!
名無しに良いとこ見せてやる…なんて思ってたら、ポイは直ぐに破ける。
もう100円を払って、2回目のチャレンジ
一匹だけすくえた。隣を見ると名無しは、デメキンをすくっていた。
「やった!大吾さん!デメキンです」
「良かったな」
「はい!…あっポイが!?」
デメキンは、破れたポイから、逃げていった。
「あ〜デメキンが」
ちょっとガックリした顔の名無しの為に、俺は100円を財布から出し、ポイを貰い、デメキンを狙う。

「大吾さん、ありがとうございます」
良かったな」
見事にデメキンをとった俺は、名無しの笑顔が見れて良かったと思う。そして楽しいデートが出来て、充実した1日だった。

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