ストーカー女

フゥと、小さくため息を出す大吾。
「(またいるな……なんだよあの女)」
最近大吾をストーカーする女がいて困っていた。
どこ行っても、遠くからついてきて、ジッと建物の隙間から見ているのだ。
いい加減一言言ってやろうかと、女がいる方に歩くと、ダッシュで逃げていく。
大吾は、追いかけて捕まえることはしなかった。

ある夜。
タバコを吸いながら、ダウンジャケットのポケットに手をいれて神室町を歩いていると、ヤクザの肩に軽くぶつかる大吾。
相手の顔を見ず、小さな声で軽く謝って行こうとしたが、進路を塞がれる。
「肩が痛いんだけどな〜どうしてくれるんだよ」
「……」
「治療費だしてくれるよね?おにいさん」
と、大吾の肩に手を置くと、手を払いのける。
「出さないと痛い目に合うよ?」
そんな言葉も気にせず、歩こうとした大吾に頭にきたのか殴りかかるが、軽くかわされた。
「おい!痛い目に合うっていっただろうが!」
怒りながら、また殴りかかっていて、大吾はチッと舌打ちをしながらも構えて、強烈なパンチを食らわす。
「ぐへ!」
男は後ろに吹っ飛び、ゴミ袋に激しく当たるが、フラフラしながらも立ち上がった。
「こ、このやろう!ん?」
丁度建物の隙間にいた女を引っ張り出した。
「きゃあ!」
「この女がどうなってもいいのか!!」
ポケットから刃物を取り出して、女の喉仏に刃物を
突き付ける。
女は恐怖からか震えている。
チッと舌打ちした時、男は大きい声で叫んだ。
女のヒールに踏まれて、痛さでナイフを落とした。
大吾は、素早い動きで女を助けだし、男を強力なパンチで攻撃をした。
男は、地面に倒れて、起き上がることはなかった。
「……あ……ありがとうございます」
「……なんで俺についてくるんだよ」
「え、えーと……」
何故か顔がだんだん赤くなる女。
「……まぁいい。付きまとうなよ」
大吾は、ゆっくりと歩き出した。
その時女は、ぶつぶつと小さな声で一人言を言っている。
まだまだストーカーに悩むとは、この時は思わなかった大吾でした。

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