友達から聞いた歯医クリニック【東城会】に来た名無しは、中に入る。
「おはようさん」
挨拶されて名無しは、ギョッとした。
片目が眼帯の髭の生やした格好いいおじさんが、受付をしているのだ。
「なんや?人の事見て?」
「い、いえ!何でもないです。ここ初めてなんで……」
「そうなんか!ここに名前書いて、呼ばれるまで、そこで待ってな」
「はい……」
名無しは、言われた通り名前を書いて、待合室のソファに座った。
その10分後。
「名無しさん。どうぞ」
呼びに来た歯科助手に、またギョッとした。鋭い目元と、鼻筋に走る横一文字の傷跡があるのだ。
「ん?どうぞ……」
「あっ!はい!」
中に入って、ユニットに座り、エプロンを着ける。
「少しお待ちください」
そう言い残し、その男性は行ってしまった。
直ぐに来た男性は、前髪ぴっちりのオールバックの髭の生やした人だった。
「お待たせしました。倒しますね」
ユニットがゆっくり倒れた。
「柏木さん!オーラルスキャナー準備してください」
「分かった」
「歯を撮りますね。……柏木さんありがとうございます。口を開けてください」
口を開けて、オーラルスキャナーが入り、上下撮影した。
「起こしますね。うがいしてください」
「はい」
小さな紙コップを手に取って、三回に分けてうがいした。
「名無しさん」
「はい」
「こちらを見てください。スキャナーした画像です。見ると、結構隙間に汚れが溜まってますね。綺麗に歯みがきするのは難しいですよね」
「そうですね」
「でも大丈夫ですよ。綺麗にしますので、始めますね」
ユニットを倒して、顔にタオルが被され、口を開けるとクリーニングが始まる。
色んな器具を使っては、歯を綺麗にして、うがいの休憩を挟みながら、クリーニングはやっと終了した。
「ユニットさんお疲れさまでした」
ユニットが起こされ、タオルをはずす時少し手が顔にあたる。
「すみません」
「大丈夫です……」
「次は3ヶ月検診になります」
「わかりました。ありがとうございます」
お礼を言って、部屋を出て待合室で待つと、直ぐに受付で名前を呼ばれて
「今日の会計と、診察券や」
お金を払って、受付にもお礼し名無しは、歯医者を後にした。
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