そろそろ髪でも切ろうかと友達と話すと、イケメン美容師がいる美容院を勧めてきた。
「ここいいよ〜美容師さんもイケメンだし〜店綺麗だし。私いつも真島さん」
「へぇ〜……行ってみるかな」
美容師さんが、イケメン揃いらしいので、
明日早速美容院に行ってみる事にした。
友達勧めの美容院「東城会」の店の前に来た。
ドアを開けると、チリンと鈴の音が鳴り。
「いらっしゃいませ。ようこそ」
鼻の上に横一文字の傷がある男の人が出てきて、少し緊張した。
「あ、あの〜今日初めて利用するんですけど……」
「こちらを書いてお待ちください」
渡されたカルテに名前やら、誕生日やらを書いて、待っている間に店内を見ると、友達が言った通りで、綺麗だし、美容師さんがイケメン揃いだった。
「(うわぁ〜。本当に格好いい美容師さんばっかりだ…なんか緊張しそう)」
「お客様」
「えっ!!は、はい!」
受付の男の人に呼ばれて、声が上擦る。
「お荷物をお預かりします」
受付に荷物とカルテを預けると、隣にいたオールバックの格好いい美容師さんに、席に案内される。
「堂島大吾です。今日は宜しくお願いします。ケープ失礼します」
ケープを着けて、“今日はどうなさいますか?”と聞いてきたので、ヘアーカタログの切り抜きを美容師さんに渡す。
「前髪はどうしますか?」
「えっと……眉毛隠れる位かな……」
「分かりました。では始めますね」
“お願いします”と綺麗に言いたかったが、また上擦ってしまった。
美容院では、美容師さんと話す人もいれば、黙って雑誌を読んでる人もいる。
名無しは、会話が苦手で黙って雑誌を読んでいたが、会話が聞こえてきて、目線を横に見れば、常連なのか眼帯してる背が高い美容師さんと楽しそうに話していた。
「真島さん……」
美容師さんの名前が聞こえた時、友達がいつも指定してる真島さんってあの人なんだと頭の中で思っていると
「前髪切りますね」
突然の声に目線を鏡に向けると、真剣な顔で少し近寄って、前髪を切り始めた。
「(この美容師さんの真剣な顔……格好いいな)」
整ってる顔をまじまじと見ていると、
視線が合ってしまって、美容師さんの笑顔に頬が赤くなった。
「どうですか?」
髪を切り終えて、三面鏡でチャックする。
「はい!大丈夫です」
「お疲れさまです」
と、ケープが外され、イスから立ち上がって受付に行こうとしたら、床に落ちていた自分の髪に滑り
「きゃっ!」
転ぶと思っていたが、担当の美容師さんが後で支えてくれて転ばすにすんだが。
「大丈夫ですか!?」
「あっ……ありがとうございます……あ、あの……」
「良かった怪我なくて」
軽々とお姫さま抱っこされてる状態に顔が真っ赤になり、そのまま受付に行き、ゆっくり下ろされたが、他の客さんの視線が痛かった。
でも、また髪が伸びたら、来ようと思う名無しなのでした。
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