料理が得意じゃない名無しは、お菓子の料理本を見ながら作っていた。
バレンタインデーで渡すチョコを作っているのだ。
刻んだり、混ぜたりと、一つ一つ丁寧な作業をこなす。
最後に、ハートの形に絞れば出来上がりだが、綺麗な形は難しく、なんとかハートの形にさせて、完成した。
「うーん……?。これでいいのかな」
本の見本とは違うが、一つ食べてみれば自分は美味しく思うが、彼はどうだろうかと思う。
でも、作りなおしてもきっと、同じような物ができるんだろうと、箱にチョコを入れて、ラッピングをする。
当日、会長室に行く。
「おはようございます」
「おはよう」
「あの……。これバレンタインデーチョコです。 形は変ですけど、味は大丈夫だと思います」
「今日はバレンタインデーか。ありがとうな。開けていいか?」
シュッとリボンをほどいて、パカッと蓋をあけると、ハートの形のチョコを手につかみ、大吾の口の中にはいる。
「美味しかった名無し」
「口に合って良かったです」
形は変でも、愛情たっぷりのチョコを渡せて満足な名無しでした。
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