トマトは好きだけど……。
これは貰い過ぎだろう。
実家から大量のトマトが送られてきた。
「一人暮しなのに、何考えてるのよ……」
食べないと勿体ないと、冷蔵庫に入れると、トマトだらけになり、まだ箱には大量のトマトがある。どうしようと考えて、ある答えが出てきた。
名無しの仕事は、東城会本部で秘書として働いているのだ。
トマトを皆にも食べてもらおうと思い付いた。
翌日、トマトの箱を車に積み本部に行く。
駐車場に車を停め、少し重たいトマトの箱を自分の仕事部屋まで運ぶ。
「ふぅ〜……。重かった〜」
取り敢えずトマトは涼しい所に保管して
今日のスケジュールを確認して、本部の会長堂島大吾を迎えに向かう。
「おはようございます。会長」
「あぁ……おはよう」
会長を車に乗せて、本部に到着するまで
いつも道理スケジュールを伝える。
「以上が今日のスケジュールです」
「分かった」
丁度本部に到着すると、構成員達は外で待ち会長をお出迎えする。最初は見慣れない光景だったが、毎朝この光景を見ると慣れるのだ。
名無しはいつもどうり、急騰室で珈琲を作り会長室にもって行く。
「会長、珈琲です」
「ありがとう」
部屋に戻り、仕事をする前に、トマトを配りに回った。箱に大量にあったトマトは、綺麗さっぱりに無くなった。
「配って良かった。もう無くなったよ」
「何が無くなったんだ?名無し」
後ろを振り向くと、大吾がいた。
「トマトですよ。実家から大量に送られてきたので、皆さんに配ったんです。会長は後で冷えたトマトお持ちしますね」
「トマトか。それは楽しみだ」
部屋に再び戻って、今度こそ仕事をする。
15時になり、休憩時間なので、急騰室で冷えたトマトを食べやすくカットして、飲み物も用意してから、会長室に行く。
ノックして、返事を聞いてから会長室に入ると、ソファで煙草を吸っていた。
「会長、これが実家からのトマトです」
「ありがとうな。美味しそうだな」
ホークにトマトを刺して食べている大吾を見ていたら、口の中にトマトが入る。
「!?」
「美味しいか?自分の実家のトマトは」
「……はい」
間接キスはトマトの味がした。
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