「あ、せんぱーい!」

屈託のない笑顔で手を振り駆けてくる梓くんに、可愛いなぁなんて心臓が少し高鳴る
気持ちいいくらい秋晴れの本日
星月学園文化祭、初日です




「和先輩、どこか行きたい所とかありますか?」

「んー、プラネタリウムかな?でも上映時間までまだあるんだよねぇ。あとは占いと、写真部と新聞部の天体写真の展示も見てみたいな。これ去年も見たんだけど綺麗だったんだ!梓くんは何かある?」

「僕は和先輩が行きたいところだったら何処でも。…って、言いたいところなんですけど、白鳥先輩とかに遊びに来いって言われてるんで、行っても良いですか?」

「勿論。星座科は何するんだっけ?」

「星座ストラックアウトって言ってましたけど。」

「うーん、わかんないなぁ。」

どういうストラックアウトなんだろうか、それは。
パンフレット片手に梓くんと行き先をあれこれ相談する
お互い今日の午後は仕事だから、午前中めいいっぱい遊ぶ予定なのだ

「あとは月子のところにも顔出したいな。錫也くんのお菓子美味しいから並ぶだろうけど、平気?……梓くん?」

パンフレットから顔を上げれば、何故か梓くんと目が合った


「良かった。」

「え?」

「和先輩、最近元気なかったみたいに見えてたんで…。今日は元気そうですね。」

優しく細められた紫の瞳に、心臓が高鳴る
それは、気付かれていたのか、という焦りと、そんな変化にも気付いてくれたんだっていう嬉しさが綯い交ぜになったものだった

「梓くんは、よく見てくれてるんだね。」

「当然です。和先輩は大事な彼女なんですから。」

「ふふ、ありがとう。でも大丈夫だから、今日は沢山遊ぼうね。」

そう言って左手を差し出せば、梓くんが少しきょとんとしてから、ふわりと微笑んだ

「どうかした?」

「いえ。和先輩から手を繋ぐおねだりは初めてだったから、嬉しくて。」

「お…っ、た、確かに…そうかも、だね。」

いつも私が言う前には、梓くんの手が私を守ってくれていた
でも、今日は守って貰うんじゃなくて、一緒に楽しみたいんだ

「じゃぁ…お手をどうぞ、王子様。」

「あはは。仰せのままに、お姫様。」

冗談めかして繋ぐ手をねだれば、温かな熱が私をほっとさせる



どうか今日だけは、笑って終わらせて



これが、最後だから





(あとなんか、陽日先生達が学ラン着るとかなんとか夜久先輩が言ってましたよ?)(え?何それ罰ゲーム?)



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