雨と、車と、一瞬の激痛

それが、私の最期の記憶



―――――――だった




「……は?」

目を開けたら、ベッドの上だった
いや、ただのベッドじゃなくて、これは覚えがある

「…やっぱり、保健室。」

ギシ、と安っぽい音を立て上半身を起こした私の揺れに堪えたベッドは真っ白で、薬品や身長計などが視界に入ってくる
保健室はわかったけど、どこの保健室だろう?
私の学校の保健室は確かもう少しぼろかった

「ん、あれ?長袖?」

そこでようやく、自分の格好に気が付いた
長袖のワイシャツ。
おかしい、もう衣更えをして半袖を着ていたはず
更には横にかけられていたジャケットはなんだか凄く凝ったデザインで、見覚えがない

(あれ?これ…)

見覚えが、ある
けれどそれは、他校のものとか、そんなんじゃない
私がこれを見たのは、友達の手中
画面の、向こう側だ

「…え?」

「お、起きたか?」

ガラ、と扉が開く音がして、勢いよくそちらを見る

「大丈夫か?入学式の途中で倒れたんだぞお前。」

「え、あ、…はっ?」

「?どうかしたか?」

見たことが、ある。この人も綺麗な翡翠みたいな長い髪
ストールを靡かせた、こんな格好良い先生なんていないって、思った覚えが、ある

「入学式…ですか?」

「あぁ、お前今年の生徒の中じゃ女子は一人だからな。ヤローばっかりなんだ、気をつけろよ?」

「は…、」


―『要約すると、男子ばっかの星専門学校にヒロインの女の子が一人入学して恋に落ちるの!』―


いや、まさか
違う違う、あれは架空の話だ
所詮人が創ったありはしない世界
だけど

「…先生、私の、クラスは…、」

「ん?あぁホームルームか?多分もう終わってるぞ?でも行くなら2階のあっちの――星詠み科に行けば良い。」

「星、詠み……、」

夢、だろうか
いや、夢であって欲しい
というか、夢じゃなかったらこれはどう説明しよう
けれど、目が覚める直前のあの光景と、今のこの状況
漫画とかそんなので、ありそうな展開
まさか――


「…先生、ここは、…星月学園、なんですか…?」


どくん どくん
心臓が早鐘を打つ
視線を絡めた先生は、きょとんと私を見つめた






「何当たり前のこと言ってるんだ?」






―『Starry☆Skyっていうゲームなんだ。星座に因んだ男の子がね、すっごくかっこよくて――』―







神様、

私、このゲーム自分でやったこともないんですが…






(友達に、殴られそうだ)




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