[答え]
kanno

[コメント]
素敵な企画に参加させて頂きまして、本当にありがとうございます!とても楽しかったです。
主催のみーこさんお疲れ様でした、ありがとうございました!

みーこさんがやりたいなと仰ってたのにがぶっと食らいついてこっそり参加させて頂きましたkannoと申します。
ファーストキスと言うことで、どういった話を書こうかと考えて考えて考えて悩んだ結果、欲望のままにW7ネタを書いてました。結局そこかよ!と言われそうですがそこですはい。えへへ。
えー、こんなにも沢山の感想を頂けることは初めてで本当に嬉しいです!ありがとうございます!コメント返しを1つ1つにしたかったんですが、考えていたら語彙力なさすぎて嬉しい嬉しいしか言えなくなってたのでその気持ちでウソップ視点より何故かだいぶ長くなった逆視点書きました!良かったらついでにもぐもぐしてやってくださいませ〜!

本当に、楽しい企画に参加させて頂きありがとうございました!



「な、なに言ってんだよサンジ。口説く相手間違えてんじゃねェか?」
愛してる。そう伝えたおれにウソップはらしくもねェ、心底困り切ってますと言わんばかりの顔でそう答えた。
まあ分かってたっちゃ分かってたことだ。船の上でも騒がしく船長や船医と騒いでるのを楽しんでる時のこいつを見てりゃ、恋愛なんて遠いもんだろう。それも相手が野郎じゃ、もしおれがその立場なら問答無用で蹴り飛ばすかもしれねェくらいだ。困った顔するこいつは断れないくらいに優しい、ただそれだけのこと。
「大丈夫だ。そんなに困った顔しなくたって、別にお前をどうこうしたい訳じゃねェ。襲いたいのでもねェし、お前に無理に応えて欲しい訳でもない」
「え、いやちょっと」
「――お前が優しいのなんか知ってるからなァ」
おれの言葉を遮ろうとするウソップはきっと、なんらかの慰めを口にするつもりだったんだろうが流石に告白して断られて慰められるってのはちとキツイ。ーー、それにウソップも暫くそっとしておいて欲しいだろう。そう思いながら、けれど言わなければいけないことは伝えないとと思いながら言葉を重ねる。
「おれがこんなことを言えばそりゃ例え無理にだって応えてくれようとするだろって思ってた」
ウソップが気にしなくて済むように、たいしたことじゃないんだと思わせる為に小さく唇を釣り上げながら続けた。ああ、クソったれ胸が痛ェ。泣きそうだ。でも、ちゃんと最後まで。
「――いいんだ。悪かった、ただ気持ちがクソ溢れちまっておさえきれなくってな」
お前が悪いわけじゃない、気持ちを抑えきれなかっただけ。ただそれだけで、お前は何も気に病むことなんか無いのだと。声が震えなかったのは、おれにしちゃ上出来だったと思う。
背中を向けて、出来るだけ急ぎすぎないようにその場を立ち去った。何かを言いかけたその気配を振り切るように。
――、ああ、後から思えばクソ後悔しかねェさ、振り向いて抱き締めてお前しか考えられねェクソ愛してるふざけんなクソ野郎お前だけなんだ!!!とでも言っちまえば良かった。
溢れる気持ちを無理やり押し殺して、その結果が――去っていった、あの背中。

「ずっと、考えていた。か」
少し離れた場所に停泊している羊の見慣れたシルエットを横目に独り言つ。思い浮かべた顔は笑顔で、みんな大好きだと言っていたあいつだった。考えていた。いつから?なあ、おれの隣で笑ってた時も。告白した時も。みんなと一緒に笑ってた時も、ずっと考えてたのか? 一味を抜ける――おれの隣からいなくなることを。
クソったれ、吐き捨てる。心ん中はクソ淀んだ墨みたいに真っ黒なもんが溜まってる、ああ気持ち悪い。ボロボロのお前。メリーを見捨てたりしないと船長に叫んだお前、そのまま背中を向けて決して振り返らなかったお前。
クソ好きだった。いいや、愛している。男相手に自分でも何考えてるんだと思わなくも無いが、クソ本当の気持ち。断られてもずっと抱えて行くつもりだった。捨てたりしねェ、ただおまえのそばに居ることができたらそれだけで良いと思ってた。
もう、手を伸ばしたくても伸ばせない。
けれど、この気持ちは変わらない。
「――クソ、愛してる」
諦めたり、しねェ。おれは、お前を。絶対に。この気持ちが通じなくても、お前の幸せを諦めたりしねェ。――、絶対に。

「お前にできねェことはおれがやる!
おれにできねェことをお前がやれ!!」

なあ、ウソップ。
みんなお前が必要なんだ、お前が思ってるよりも、ずっと。

あいつが帰ってきた船は、すぐにいつもの明るさを取り戻した。胸ん中のクソ淀んだ真っ黒いもんが、あいつの声で、笑顔で溶けて行く。やっぱりこの一味はこうじゃねェとなァ。
そう思っていたある時。キッチンにふらりと姿を見せたウソップがおれの名前を呼んだ。
真剣な声にどうしたのかと思いながら、片付けの手を止めて振り返る。
「好きだったんだ」
「……ァア?」
「今更だろうけどさ、お前のことずっと好きだった」
口にくわえていたタバコが床に落ちた。
……いま、なんつった?
「お前に言われるよりも前から好きだった」
言われた言葉が、真っ白になった頭の中に徐々に浸透してくる。
好きだった? 誰を? 誰が? ――ウソップが、おれ、を?
「がッ、て、っめェなに言って」
「お前に告白された時さ、夢みたいだって思っちまったんだ。応えたら夢が醒めちまいそうで、だからずっと先延ばしにしてた」
でも、諦めないとな。目を細めて小さく笑うウソップ。無理矢理笑顔作ってんのが丸わかりな顔で、なに言ってんだお前。
「ちゃんと言わねェと、お前が前に進めないだろ。おれが未練がましくしちまうかもしれねェけど、しないように気をつけるから」
「おい!」
紡がれる言葉を止めないといけねェ気がして声を上げる。だが止めるつもりはないと言わんばかりにまくし立てるように続けるウソップ。
「おれの嫌なとこも弱いとこも全部さらけ出してお前らみんな巻き込んで、それでも不思議なくらいに後悔してねェんだ。
辛い思いさせちまって、悪かった。ごめん。お前の気持ち聞くだけ聞いて、宙ぶらりんのまま船を下りちまって」
真正面から、その瞳がおれを見据えた。
「全部諦める。夢は醒めるもんだ。だから最後に一度だけで良い」
――キス、してくれないか?
瞬間、怒りに目の前が真っ赤に染まった。
目の前の唇に向かって勢いよく噛み付くようなキスをする。一度だけでいい?夢は醒める?最後に、だ? ふざけんな。――、ふざけんな……っ!!!
驚きに閉じられていた瞳が間近からおれを映す。大きく見開かれた漆黒の瞳の中に、らしくもねェ、本気でブチ切れてる自分の目が見えた。それでも抑えきれるもんじゃねェ。ああ、そんな最後だのなんだので納得できるほどクソ軽い気持ちじゃねェんだよ納得なんか出来るか!!!!
「え、んンぅ?!」
唇の隙間を強引に割って自身の舌をねじり込む。クソ乱暴なキス。ファーストキスにしちゃ甘さのかけらもねェ。分かっちゃいたが、止める気もなかった。ああ、ただただふざけるな、と。
息も絶え絶えになったウソップの唇を解放した直後、胸倉を掴んでその瞳を覗き込む。
「ご、ごめん。こんな怒るくらい嫌なことさせちまって、ありがとうなおれ諦め」
「諦める為のキスだ? 一度きりのキス? 夢から醒める?」
その言葉全てがおれの気持ちを考えてねェ。勝手に思い込んで、勝手に終わらせて、そんなんで納得なんか出来るわけねェだろ!!!
「黙って聞いてりゃクソ好き勝手なこと垂れ流しやがってふざけんなよてめェ!」
え、と戸惑いながらおれの名前を呼ぶウソップ。その声に、どれだけ焦がれたと思ってやがる。
「――誰が、諦めてやるか!! 誰が納得なんかしてやるか!!
いいか夢なんかじゃねェし夢で終わりになんてさせてやる訳ねェだろうがクソっ鼻!」
一度きりなんかで終わらせねェ。終わらせてやるものか、思いながらもう一度その唇におれの唇を重ね合わせた。
「諦めろなんて誰が言った? 言ってねェだろ、そんなことを言うのはお前くらいだ。このクソネガティブ野郎が」
二度目の口付けを終え、何度だって伝わるまで繰り返してやる諦めてなんてやるものかと思っていたら、目の前のウソップの表情が目に飛び込んできた。瞬間、荒れ狂ってた頭の中が一気に落ち着く。
――ああ、ったく。
「……バカだな」
呟き。そっと、手を伸ばした。
今にも泣き出しそうな瞳をしているその頬を、慈しむように撫でる。
「ばかだなァ、お前は。そんな泣きそうな顔するくらいなら、そんなこと考えてんじゃねェよ」
「……サンジ」
「ファーストキスがラストキスなんてそんなもん、おれは認めてやらねェからな」
嫌いだとか、好きじゃないから受け入れられないと言うなら諦めもしただろう。ずっと自分だけで気持ちを抱えて行く覚悟もしていた。けど、そんなクソ下らねェ思い込みで全部終わらせるなんて、誰が認めてやるものか。
「夢から醒めたってその現実は変えてやらねェんで、精々覚悟しとけよウソップ」
そう告げたおれにウソップはら見開いていた瞳からぽろりと涙を溢れさせて。その頬を――おれの手の甲を濡らした。留めようとしていた気持ちがどうしようもなくクソ溢れ出したかのように、次々と流れて行く涙を拭ってやりながら、その身体を抱きしめる。

ああ、そのクソ野郎が。もう二度と、終わりなんて選ばせてやらねェからな。
「――クソ愛してる、ウソップ」
「お、れも、おれ、も――、おまえの、こと――」



[読者の予想]
01 kanno(10票)
02 無山(2票)
03 neconia(2票)
04 みーこ(1票)
05 ふたつき(1票)
06 こまき(1票)
07 塩分過多(1票)
08 佐倉七里(1票)
09 壱宮弓弦(1票)
10 さきこ(1票)
11 蛍(0票)
12 椎奈(0票)
13 稲穂(0票)
14 榊田暁(0票)
15 観察池めだか(0票)
16 あゆみ(0票)
17 Yさん(0票)
18 くろ(0票)
19 もも(0票)
20 ムトウ(0票)
21 綿100%(0票)

[ソムリエコメント]
・ネガティヴなウソップとそれをそれで終わらせないサンジが素敵でした!!サンジを強い思いがウソップに届いてて…幸せになれー!!!!と叫ばずにいられません……素敵な作品を本当に本当にありがとうございます!!
・ウソップのネガティブを包み込んで抱え込んで、そんでふっ飛ばしていくサンジが素敵でした。
・攻め攻めしいサンジが素敵でした。お似合いだ〜〜〜〜
・ウソップの十八番ネガティブに磨きがかかってて「嗚呼もう!そうじゃない!」と何度もどかしくなったか…!そして文章の中に散りばめられている「ファースト」「セカンド」「ラスト」という単語にドキドキしました。これからもいっぱいしてねサンウソ(;_;)
・サンジ怒って当然だと思います…そして恐れず幸せになってねウソップ…一回だけキスしてほしいというお願いがまた可愛くてでもラストキスにはならなくて良かったね…と思いました!!!!
・穏やかな感じからの、グッとくる瞬間と何となく切ない感じがとても憧れます。雰囲気がとても好き。
・ネガティブ発動して全てを諦めようとするウソップにもだもだしてしまいました(笑)サンジくんよくやった!そのファーストキスは殴るよりも効いたと思う
・もぉ、すみませんっ!ぐっときすぎて言葉がうまく言えないー。好きですー!サンジがかっこよすぎて悔しいっ。
・夢じゃないよウソップ!とサンジくんとシンクロしてしまいました……幸せにさせるんやでサンジくん……
・サンジ君がとても男前で素敵でした!
・怒るくらい好きで、でもちゃんと優しいサンジくんが男前でした。
・本当に素敵なお話をありがとうございます。お互いに相手のことを想い合うふたりにキュンキュンしました!特に最後のサンジくんの台詞がかっこよくて、だいすきです。
・ウソップ的には必死に言い出した最初で最後のキス…とか切ない!のにそうさせないのがサンジですよね…本当に良かったですハピエン最高!
・ウソップが大好きなサンジとサンジが大好きなネガティブウソップの対比がすごく好きです。
・サンジさんの圧倒的男前さとウソップの儚さがががw勝手に諦められそうになって激昂するサンジさんが素敵過ぎますw
・勢い余ってのセカンドキスに思わず叫びたくなるほど萌えました!ネガティヴなウソップも可愛かったです!
・絶対W7書くと思ってた。ブチギレサンジくんおいしい。ごちそうさまです。


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