チカラを使って辿り着いた島、レガーロ。街並みはとっても綺麗で、久々に肌で感じた外の空気は澄んでいて、新鮮で、何もかもが新しく感じた。

「うっわあ…凄い!!!これ、絶好のグルメ巡りとお昼寝が出来そうだよ!!」

ちなみに私の趣味と言うのは、『食べる事』と『ただひたすらに寝る事』なわけであって。食べる事は好きだけど量は別に一般量と変わらなく、ただたんに美味しいものを食べるのが好きという事である。

「お嬢ちゃん、レガーロは初めてかい?」

「え、あっはい!私日本…じゃなくて、ジャッポーネから来たんです!」

ここにいる人は皆が知り合いのような活気のある街で、初めてここに来た私に対しても気さくに話しかけてくれる。ジャッポーネから来たと言えば街の人は「そうかそうか!レガーロは良い所だぞ!!」と眩しい笑顔で答えてくれた。それから何となくこのレガーロの事を聞いて、一番気になっていた『アルカナ・ファミリア』についてまた問いかける。

「あの…アルカナ・ファミリアって、一体どんなものなんですか?」

「なんだいお嬢ちゃん、知らないのか?ってああ、まだ来たばっかだもんな。アルカナ・ファミリアってのはな、ざっと言えば悪いやつから島を守ってくれる組織みたいなもんだよ」

「ほおーそうなんですか…」



ブラブラと島を大雑把に見回った後に訪れた、いかにもな館に目が点になる。広く作られた構造に全部見回るのは大変そうだなあとしみじみ思いながら中の様子を覗き見てみれば、そこにはあまり人気はなくて。不思議に思って屋敷に近づけば、ふいに後ろから声をかけられる。

「おや…?もしかして、何かお困りでしょうか」

「へっ!!?!あ、あれ…」

振り向いて見たその人は癖のある黒髪に帽子を被っていてその時に何故か、あの日会ったあの人を思い出させて。直感的に、この人もファミリーの一員なんだと感じた。だから、私にはもう迷いなんてものは皆無で!!

「私をっ!!!ファミリーの一員に入れて下さい!!!!!」

相手の目なんか見る暇もなく頭を下げてそう言えば、当然相手の男の人は吃驚して叫ぶ。叫び声なんか何も気にならないくらいに私は必死で、相手の肩を掴んでグラグラと揺さぶって頼めば「ちょっ!?まっままま待って下さいじぬ゙っ死にますってえええ゙!!」とまた大声で言われて、渋々肩から手を離せばぜいはあと息切れをしていて少し…やりすぎた気がする。

「あ、えっとー…ごめんなさい!!」

「い、いえ…あはっあはは…ゲホッ」

「おーいルカー!!なんかお嬢が用があるって…あ、ごめん!話し中だったんだな…ってルカ、そんな息切れしてどうした?」

今度は金髪の若い青年が来て、少し心配しながら男の人に話しかける。どうやらこの人はルカと言うらしい、彼は息と服装を整えてから金髪青年の問いに答える。

「えー…こちらのシニョリーナがどうも、ファミリーに入りたいと申されていまして」

「え、ファミリーにか?うーん、幹部って今空いてたっけ?」

「その問題はないぞ、二人とも」

「あ!あの時の!!」

とっさに失礼と分かっていながらも鮮明に思い出される顔にビシッと指を指してまた新たに来たその人を見る。あの時、ただ傍観するように見ていた人…たしかモンドと言う人が呼んでいた名前は、ダンテだったはず。

「お嬢さん、君が来る事は分かっていた。契約も既に済まされている、こちらへ来るんだ」

「(契約?)はっはい!」



屋敷内の部屋まで通されある一部屋まで辿り着く。どこか他の部屋と違う扉をダンテさんが開けて促されるままに中に入れば、今の今まで頭の中を占めていた人が私の目の前にいて。なんだか有名人に会ったような気分になって、凄く緊張してきた。

「よく来たな、ユナよ。少し、予定より早い気もするがな」

「あっああああのモンドさん!!!わ、わた、私をファミリーに入れて下さい!!」

「ああ、分かった」

「お願いしま…っすぇ!!?!」

あまりのスムーズさに意味が分からなくなって目をパチパチさせながら目の前にいる彼を見れば、さも当然のようにあっさりと了承され、むしろ言われなくてもファミリーに入れていたと言われたらもう何だか色々とどうでも良くなってしまって。

「…はーっ…うあー良かったー!!」

グッと腕を伸ばして緊張を解けば、忽ちモンドさんから「お前には新しいファミリーの一員として、ジョーリィの補佐をやってもらう」と告げられて。聞き覚えのある名前を言われた途端に少し、頬が熱くなった。





「まずは先に、お前の事を知らせておこう」

「(お、落ち着け自分…今はダメだ!!)はーい!!」









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