「良かったです、無事見つかって」

「ありがとう、貴方のおかげで本当に助かりました」

「ありがとっおねーちゃん!」

「そんなそんな!いやでも……えへへ」

事は少し前の出来事。まだまだレガーロの事を知らない私は積極的に街に触れていかないとと思った私はまた街中に出ていて。そこでまるで私への試練と言わんばかりの小さな男の子が、お母さんを探しているのが始まり。

「チャオ!君、もしかしてお母さんとはぐれちゃったの?」

「ぐすっ……おねーちゃん、だれ………?」

「私?私はユナ、新しく入ったアルカナファミリアの幹部だよ」

アルカナファミリアの単語を口にした瞬間、男の子はパッと笑顔を浮かべる。アルカナファミリアはこのレガーロ民皆知っているのは当たり前、秩序を守るファミリーの幹部が目の前に現れたのだから男の子的には一種のヒーローが出たと言うのと同じ感じなのかな。

「わあっ凄い!おねーちゃん、ママを探してくれるの!?」

「もっちろん!探し物は私大得意だからね、ママの特徴教えてくれる?」

「うん!ママはね、背が高くて、パパがべたぼれするくらいなんだよ!」

「え、うん?」

子供が有力な情報を伝えるのは最初からあまり期待してなかったけど、背が高いシニョリーナなんて情報一つだけじゃ全く分からない。他にも髪型など聞いてみたが、この情報量じゃ日が暮れてしまいそうだ。

「………おねーちゃん、ママ、見つからないの………?」

「っいやいや!大丈夫だよ!!ユナが絶対見つけるから、今方法を考えて………」

「う、うぅ………ままぁ…」

思わず泣き出しそうになる男の子を必死に励ます。何か良い方法はないかと考えるも、中々良い方法はすぐに浮かばない。誰かが知っていれば、もっと有力な情報が入って探せるんだけど…。

「この子のお母さんをよく知る人…………あ!!」

「おねーちゃん?」

「お母さんを一番知っているのは君なんだから、君に聞けば良いんだ!」

「?何言ってるのか、ボクよくわからないよ………」

状況をよく分かっていない男の子の腕を引っ張って周りから余り見えない位置まで行く。他の人には出来ない事も私には出来るんだから、"力"は有効に使うべきだと思う。たとえ代償が出たとしても、それでこの男の子が喜ぶなら。

「君、今から大好きなお母さんを思い浮かべてくれる?」

「?うん」

「よし、…………―ディヴァール・レ・アニタ―この子の記憶を詠む!」

アルカナ能力を発動した瞬間に男の子の記憶が鮮明に私の頭に流れ込んでくる。十分に正確な情報を手にし、これでお母さんを探し出せると男の子の手を握った。

「ママに、会いに行こう!」

「!おねーちゃん、うん!!」

「……―アストゥ・ペル・ヴェッジェンツァ―………こっちだよ!」





と言った感じで冒頭に至る。感謝を告げられ手を振りながら去っていく親子に手を振り返して別れを惜しんでいれば、当然ながら眠気は私に降りかかる。

「っ…………―ラ・ステラ」

"……………何だ、ユナ"

「お願い、貴方の力で睡眠を最小限にして」

"はっ、こっちの代償は良いのか?"

「だって、私もう仕事サボれないし…良いよ、大丈夫」

"……分かった、では代償を"

「っ!!うわ……残酷…」

会話が終わると同時に頭に様々な映像が頭に流れ込んでくる。私が代償に耐えきれないで倒れたり、さっきの親子が帰り道に車に跳ねられて重傷……いや、亡くなってしまったり。

ラ・ステラの代償は、普段の能力の真逆の出来事が頭に流れる事。チャンス、良い事の逆………それはピンチ、最悪の出来事。これが現実になる訳ではないけど、こんな映像を見せられるというのは正直滅入ってしまう。

「はあ…………でも、強くなるための試練なんだから乗り越えなきゃ。眠気にも、悪夢にも負けない位に」





「ただいま…………」

「あ、おかえり…………ユナ?具合悪いの?」

「!姫、ううんっ大丈夫!ちょっと一仕事してきただけだから……私、先に休むね?」

「?うん…………」

「(まだ、これは言わない様にしないと)」





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