「よーっし!!仕事頑張るぞー!!……と言ってはみたけど、」

ポツンと街中に置いてけぼりにされた様に1人佇む。家を抜け出してレガーロに来て、アルカナ・ファミリアに入って幹部となったわけだけど、最初の仕事はそんなすぐに来るわけもなく。何て言ったってレガーロの事を私は何一つ知らないのだから。

「ジョーリィに付いて来てもらうのは悪いから1人で来たけど、正直右も左も分からないのによく来たなー私!」

これも全て独り言で。周りはまだ家ばかり見えるから、多分住宅街なんだろうと言う事は分かる。でも求めてるのは家じゃなくて、店で賑わう街並みが見たい。そして何より、

「美味しいご飯の店把握がしたい!」

と言うのが今日来た8割を占めているに等しい!…と言うのはファミリーには秘密。



「うわあ…!色んな所から良い匂いする!!ユナ頑張ったー!!」

何とか賑わう街並みに辿り着いて周りを見渡せば、色んな店が所狭しと並んでいて。1日では周りきれない程に栄えているレガーロに、思わず視線がさまよってしまう。

「おや?見ない顔だねお嬢ちゃん。その服、アルカナ・ファミリアなのかい?」

「はい!私昨日幹部になりました、ユナです!!」

「そうかそうか!これから頑張ってくれよ?ほら、これをあげよう」

「あっありがとう!!ユナ頑張ります!!」

「ああ、頑張って!」

幹部記念にか林檎を無償で貰ってしまう。人の好意は素直に受け取るべきとはよく言うけど、レガーロの人は皆優しすぎる気がする。それでも嬉しい好意に有り難く受け取った林檎はとても美味しそうで、やっぱり嬉しかった。



「綺麗ーいただきま「っ強盗だ!!」…す?」

ほんの少しだけかじった林檎はとてもシャキシャキしていて美味しいのだけれど、どうも騒がしい声につい意識が向いてしまう。どうやら強盗が出たらしい、でもその強盗は今少しこのレガーロで悩ましの種らしくまだ捕まっていないみたいで苦戦してる様だった。

「…………っあの、すいません。強盗は何処に?」

「それが、いつもすぐに見失っちまうんだよ。途端に盗んだと思ったらあっという間に消えちまう…建物が沢山あるからすぐ隠れるんだ」

「おーっい!ユナ!」

「あ、えっと、…リベルタ!」

振り返るとリベルタがこっちに手を振りながら走っていて。昨日覚えたばかりの名前を呼べば「チャオ!」と元気に答えてくれる。彼も今まさに強盗犯を追っているらしく、幹部でも捕まえるのが難しいらしい。

「とんだ問題児だよなあ、くそっ何処行ったんだよ…」

「うーん………あ、」

「ユナ?」

「…ユナ、犯人、場所分かるかも」

「えっ本当か!!?!」

ただ上手くいくか保証が効かないのがあれなのだけど、とリベルタに言えば問題なし!と返答が返ってくる。犯人の特徴を聞いて周囲を見渡すも、当たり前だけど犯人らしい人はいない。初日早々まさか力を使う時が来るなんて…って私今仕事中だ!!

「まかせて。………―アストゥ・ペル・ヴェッジェンツァ―」

さっきまで周りにあった建物、道、全てが透き通る水の様に澄み渡る。細かい場所を見落とさないと力を緩めずにいれば、さすがの私にも疲れは出て来る。それでも、私の初仕事…絶対に犯人を見つけて捕まえてみせる!!

「…ーっ………、見つけた!!こっち!」

「え、ユナ!!?!」

さっきまで迷子だった私が嘘みたいに街を駆け抜ける。すれ違う人々を追い越して目指す犯人は未だに逃げていて、でももう、逃がさない。初仕事は絶対に、成功して成果を見せるって決めた!







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