和泉守さんと！

「きれい、」

「…………は？」

「とっても綺麗です、ほらっ天使の輪！」

「天使って、褒めてるのか？」

「勿論です！天使の輪はつやつやでサラサラの人じゃないと、出来ないんですよ」

思わず片言になりながら目の前にいる彼、和泉守兼定さんにそう告げた。先程まで出陣していた和泉守さんの手当て中、少し乱れた髪を整えていたのが始まり。初めて出会った時から綺麗だとは思っていたけれど、実際に触ってみて、櫛を通してみて、サラサラの髪先に触れると何だかちょっと感動してしまいました。

「コマーシャルに出てる人みたい…」

「こ、こま？なあ、よく分かんねえんだけど……？」

「え？っああ、ごめんなさい！私一人楽しんでしまって……」

さらりと通る髪の毛に触れたまま謝ると、和泉守さんはされるがまま状態でジッとしていた。あ、和泉守さんポニーテールとか似合いそう、とか色々と考えていると自然と手が髪の毛を結ぼうとしている私がいる。幸い前の世界から腕につけっぱなしのヘアゴムがあったから、これを使いましょう。

「はあ………つやつやでサラサラ……素敵です」

「まっまあオレ様は格好良くて強いからな。見た目が良くて損は無いだろ？」

「そうですよね！あの、結っても良いですか？もっと触りたいです…！」

「おっ！？…………お、おう。好きに、しな」

失礼します、と一言告げ髪を持ち上げた。サラサラの人は髪の毛を結ぶのが難しく、少し苦戦してしまったものの何とかポニーテールにすることが出来ました。普段と違った見た目はとても新鮮に見え、元の容姿が良いからか少しドキッとする。和泉守さんも何処か嬉しそうでどうだ、似合うか？と問われたので勢いよくはいっ！と答えると、満更でもないみたいで、ちょっと照れてるのが見てとれた。

「じゃあ、よ」

「はい？」

「主にもやってやる、同じように」

「え…………えっ！？」

ほら後ろ向きな、と私を後ろにしたかと思えば、頭に触れる手の感触が分かる。数回撫でられたかと思えば、先程まで使っていた櫛が私の髪を梳かす。時折首筋に和泉守さんの手が触れると凄くドキドキした。動けないこの状況にただただ緊張していると、持ち上げられた髪の毛が結われていく。いつも彼の髪の毛を結ぶあの赤い紐が、今は私の髪に飾られていた。

「わ、わ……………なんだかすみません」

「何で謝るんだよ。…嫌だったのか？」

「っいえ！和泉守さんに髪を結って頂けるなんて、思わなくて………お揃い、とっても嬉しいです」

「……………っ！！」

少し照れくさいけれど、今の和泉守さんと私はお揃いの髪型というのが嬉しかった。内番の時のあのゆったりした髪型も素敵だけど、動く度に揺らめくポニーテールもとっても良い。

「あんたって、何でこう…………」

「和泉守さん…？」

「い、いや！！なんでもねえ。主は気にするな」





(何だってこう、たまに大胆な事を言うんだ)

(おや、今日はいつもと違う髪型なのですね)
(一振さん！これ、どうですか？和泉守さんとお揃いなんです！)
(ほう…？主と、随分親しいのですな)
(視線が怖え………っ！！)