鶴丸さんと!

「わっ!!」

「ひっ!!?つ、つつ、鶴丸さん!」

「ははっ、今日も良い反応だな」

曲がり角で突然現れる鶴丸さんに吃驚して洗濯物を落としてしまった。ああっ折角洗ったのに、と急いで拾い上げると私を驚かした張本人の鶴丸さんも一緒に洗濯物を拾い上げる。驚かしてこない時はとっても良いひとな訳だから、嫌いにもなれないし怒ることもあまり出来ない。

「も、もう……鶴丸さん、吃驚しました」

「良い刺激になったろう?でももう曲がり角で驚かすのは何回もやったからな……今度は違うのを考えるか」

「心臓に悪いので出来れば普通にして頂きたいです…!」

そんな願いも虚しく鶴丸さんは分かってるって、とニヤけた様な笑顔で私を見る。これはまたやられますね………と心の中で思いながら口ではお願いします、と告げた。そのまま出くわした流れで一緒に洗濯物を干して頂き、一緒に私の部屋まで戻る。折角だからとお茶菓子を嗜み至福のひと時を味わうと、鶴丸さんは時折ここはこうして………とぶつぶつ呟きながらお茶菓子に手をつけていた。

「そういえば、大倶利伽羅とはどうなったんだ?」

「?どうなった、とはどう言う事でしょう?」

「ほら、くっついたんだろう?人間でいう恋仲、というやつだったか」

「こっっっっっ恋仲!?」

どうして鶴丸さんがそんな事を、いえっ、そもそも私と大倶利伽羅さんの関係はっ、ど、どうしましょう何て返事を返せばいいのか一気に分からなくなる。そんな慌てふためく私に鶴丸さんは大きく口を開けて笑っていた。は、恥ずかしい…!と思うもやはり何を言えばいいのか分からないのでただただ顔を俯かせる事しか出来ない。……恋仲、だなんて。

「照れてるな。………そういうのも、あいつには筒抜けって事か」

「な、何言ってるんですか……?」

「まあでも別にあいつのものって訳じゃないんだろ?君は俺達の主なんだからな」

「え、えと…………?」

何だろう、今日の鶴丸さんはいつもより何というか……雰囲気が、違う気がした。大事な刀剣の一人のはずなのに、同じ部屋にふたりきりでいるのが少しだけ怖く感じる。いけないことをされそうな、そんな感じが。……いやいや、何を考えているのでしょう、そんな訳ないのですから、いつも通りに接せれば良いはずですよね。

「………………」

「鶴丸さん…?何だか、今日はいつもより静かですね」

「そうだな。君の事を考えていたよ」

「……………っ!?」

突然告げられる甘い言葉に、思わず思考も身体も固まってしまった。すると鶴丸さんは何を思ったのか私に近付いて、気付けば唇が触れそうな距離にまで鶴丸さんが近くなった。え、と声を出そうと思った途端、鶴丸さんの手によって口が塞がれ声が出せなくなる。それと同時に肩も押されていた私は、初めて押し倒される経験を覚えた。

「驚いたかい?」

「驚いたかって、ま、待って下さい鶴丸さん、これはさすがに…っ!」

「さすがに、何だ?大倶利伽羅とはこんな事とうに経験済みだろう?なら相手が俺に変わった所で問題ない。君は、俺たちの主なんだから」

「ぇ、え………っ!?」

経験済みとか言われても私は初めてです。……なんてこの空気の中言えるわけもない。あわあわしながら鶴丸さんの顔を見つめていると、頬に手を添えられて背中がぞくっとした。どうしようどうしよう、このままじゃ、絶対いけない流れになる気がします。かと言って大声を出して鶴丸さんを悪者扱いにしたい訳じゃない私には、どうすれば最善の策なのか一つも思いつかない。つるまるさん、少しだけ震える声は、ただ緊張しているだけ?

「………このまま、皆が驚くような事をしてみようか?」

「……つ、るまる、さ、ぁ………っ!?」

徐に手首を優しく掴まれたと思えば、彼にそこを口付けされた。音を響かせる鶴丸さんに思わず変な声が出そうになる。待って下さいって言わなきゃ、ダメなのに。時折私に投げ掛けられる視線に身体が熱くなるのを感じた私は、とうとう彼から視線を逸らしてしまった。

「…っ……ぅ……つる、まる、さん…」

「……愛しいな。君はそんな顔も見せるのか」

驚いたよ、そう告げられる声は、いつもより艶がある。何なんでしょうこの感覚。擽ったいような、身体がゾワゾワするような。身体の奥から熱が溢れるみたいなこの感覚は、とっても恥ずかしい。手に力が入らなくて抵抗もままならない私は鶴丸さんの思うがまま、されるがまま。他の刀剣が誰も此処に来ないのも、鶴丸さんの策?

「……さあ、もっと俺を驚かせてくれ」

この流れに逆らえない私は、間違いなく、彼の策。

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