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いつだって、君のペース


フライング嶺二先輩
相変わらずの非嶺二先輩です
それでも良い人はどうぞ!





バアンッと勢い良く大きな音を立てながら嶺ちゃんの部屋の扉を開ける。こんなにも大きな音を立てたのにも関わらず、嶺ちゃんは微動だにせずグッスリ眠っていて。こんなに気持ち良さそうに眠っているのを起こすのは気が引けるけど、今日は二人共オフと言うとっても貴重な日で。これは二人で過ごす他はないと思う!!

「おーはやっほー嶺ちゃん!!」

「ん、うーんまだ眠いってー…」

「ダメだよせっかくオフなのに!それにいっちゃんとのせちゃんも仕事でいないんだよ?二人きりなのに…嶺ちゃん!」

「はいはい分かったよー…でもまだ五分寝かせてねー…」

そう言って布団を頭まで被って私の声を遮断する。そんな態度に少しだけムカついて、思いっきり布団をバンバンと叩く。

「うっわちょ、鈴羽止めてってば!痛いでしょ!」

「だって嶺ちゃんが寝るから…っ馬鹿もう知らない!」

「ぐほぉっ!!」

最後に腹いせに嶺ちゃんのお腹を力一杯殴って立ち上がって扉に向かう。せっかくたまにはゆっくり過ごせると思ったのに、眠りを優先されたらたまったもんじゃなくて。自然と大きくなる足音も無視して扉を開けようと手を伸ばした瞬間、大きな手によって手を掴まれた。

「…なに」

「待って待ってほら、もう起きたからさ!!せっかく来たのに帰るなんて勿体無いって」

「………」

「もー睨まないの!可愛い顔が台無しだよん?」

「っせい!!」

「!っと…一回見た技は、僕には効かないよ?鈴羽」

パシンッと良い音を立てて嶺ちゃんの手の中に収まる自分の腕を見て、軽く溜め息を吐く。こうやって苛ついてしまっても、結局最後は許してしまう辺り私は嶺ちゃんに相当甘い。力を抜けば、掴まれた手も自然と離れる。扉に向けていた体制を変えて部屋に戻り、仕方なくソファーに座り込んだ。

「それで、今日はどしたの?こんな朝早くに…朝苦手だったよね?」

「それさっき言ったって!…今日はオフでいっちゃんとのせちゃんがいないから、一緒に過ごしたいと思った…それだけ!」

「ふうん…可愛いなあ鈴羽は!!お兄さんが、なでなでしちゃうぞーっ!」

「んやっ馬鹿やめ髪グシャグシャなるって…嶺ちゃん!!」

髪の毛をわしゃわしゃと撫でられて、せっかくセットした髪型が崩れる。嶺ちゃんの両手を掴んで髪の毛から離せば、嶺ちゃんは反省の色もなしにニコニコ笑っていて。本当に嶺ちゃんの行動には溜め息しか出ない…こんな人を好きになるなんて、私は一体いつからおかしくなったんだろう。

「はあ…ほんと、馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」

「ちょっ酷いなあ傷ついちゃうよ僕!!」

「(こんな予定じゃなかった…)」

「、鈴羽?おーい、鈴羽ちゃーん」

「何?もう…」

「どーしたのそんな落ち込んじゃって!もっと気分盛り上げていこうよさあ、さあ!」

横目に勝手に盛り上がる嶺ちゃんを無視してソファーに深く沈み込む。朝は苦手で頑張って起きたのに本当に台無し…しかもそのせいで今になって眠くなってきて。思わずうとうととして視界がぼやけてくる。

「ちょっ鈴羽ちゃーん!さっき僕起こしに来たのに自分が寝ちゃうの!?寝ちゃう!?まってまってほんと、僕が悪かったからさ!!」

「ん…別に、もう怒ってないから良いよ…ふわ…眠い…」「えっまじで寝ちゃったの!!」

フラフラと現実と夢の狭間を行ったり来たり、嶺ちゃんの声が、私を現実へと連れ戻そうとする。それでも私の意志は夢の世界へとどんどん進んで行って。意識もそろそろになくなろうとした時、いつもより低音の嶺ちゃんの声が耳元で聞こえた。

「…ねえ、そんな大胆に寝顔なんて見せちゃって…僕も男なんだけどね?分かる?…こうなるって、鈴羽」

「……ッ…ん…、ゃ……」

「えええまだ寝てるの?まあでも…僕にとっては好都合かなー鈴羽が起きないなら、もうちょっとやっちゃうよん」

「い、た…ッ嶺ちゃ…?何、して…」

「ん?ごっめーん跡つけちゃった、えへ」

「跡…?っな、ななななな何してるの馬鹿!!!」

思った以上に近い距離に驚いて、勢い良く嶺ちゃんから離れる。離れるとは言っても、ソファーの上だからあまり距離は出来なくて。調子に乗った嶺ちゃんはグイッと私に近づいてきて、自然と押し倒される形になって。肩を押しても、その手を取られて動けなくなってしまった。

「やっめ嶺ちゃ…近い…!!」

「別に僕ら恋人同士なんだから問題ないんじゃない?ほらほらもっとくっつこうよーぎゅってね!!」

「やああああ馬鹿…!!近づいちゃヤダっひぃ…!!」

掴まれてない方の手を嶺ちゃんのおでこに当てて強く押すも、またその手も掴まれて。今度は徐に掴んだ私の手首を嶺ちゃんの唇へと運ばれ口づけされる。真っ赤になって動けない私に気を良くしたのかそのまま嶺ちゃんは私に沢山キスをして。

「ん…ッ…れ、ちゃ…んゃッ……!」

「ッは…かーわいいー鈴羽ちゃん、もーっとキスして良い?」

「ヤダっ…な、ん…ッ…」

「は、ぁッ…えへ、ヤダって言ってもやるんだけどね?」

「!ば、か…正真正銘の馬鹿…!!」

手の甲を口に当てて、嶺ちゃんから視線を逸らす。顔赤いし、身体は熱いし、心臓は嫌になくドキドキして煩くて。たしかに一応恋人同士と言う関係ではあるし、たまには触れ合いたいとは思うけど…ここまでは求めてない!!

「こんな、恥ずかしげもなく…っ」

「え?僕ドキドキしてるよ?ほらほらここ、触ってみてよ」

「…?あ…いつもより、早い…」

恐る恐る嶺ちゃんの胸元に手を当てる、たしかにいつもより、早くて…これはドキドキしてるのかな?

「ぷぷぷっ赤くなっちゃって…可愛い」

「なっ……そっちは、かっこいい…よ…嶺、二」

「えっ今何て、鈴羽ちゃん」

「、な…に?……っ…!」

ハッとなって口元を抑えて話題を逸らそうと嶺ちゃんに視線を向ければ、予想だにしていなかった真っ赤な顔の嶺ちゃんがそこにいて。今まで名前をちゃんと呼んだ事がなかったからなのか、もしかして…照れてる?

「ーっあーもー可愛い!!もっかい、もっかい呼んで、さあ!」

「ちょっと嶺ちゃ…ヤダってば…!」

「えーお願い!!ね?」

「っ…嶺、二……ん…ッ…!」

名前を呼んだと同時に口づけされて。それも深く、感じるように。下唇を甘く噛まれて、思わず身体がビクリと震える。そのままソファーになだれ込んだ時には、すっかり息が上がっていて。未だにほんのり赤いお互いの顔が、行為を続けようと促している様で。たまには良いかなと、今度は自分から嶺ちゃんに口づけた。




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