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目指す先に貴方がいて



フラゲで藍先輩
こちらもCDのみの知識です
それでも大丈夫な方はどうぞ!



「藍先輩ーっ!!」

「はあ…また君?僕今色々忙しいんだけど」

「ごめんなさい!でも、新曲のラフが出来たから、見てもらいたくて…」

そう言ってさっき出来たばかりの楽譜を恐る恐る目の前にいる彼に見せる。美風藍先輩…先輩と言っても、年は私と同じ15歳。でも同じなのは年齢だけで、他はまるで違う。藍先輩はマスターコースで私の担当を引き受けてくれ、そして私は教え子として、トップアイドルになるために頑張っていつ。藍先輩の指導は他の人より格段に厳しい。個人個人に合ったカリキュラムを作ってくれるものの、中身は今の自分のレベルよりももっと厳しい条件を突きつけてくる。その厳しさに諦める人も数知れず…でも、私はそんな厳しい条件も今までクリアしてきた。

「新曲?君、ついこないだも新曲作ってきてたよね、」

「はい!最近、私のパートナーの子もかなり頑張ってくれてるみたいで…たくさん作ってるんです!!」

藍先輩に、早く認めてもらいたくて。言いながら微笑めば、軽く溜め息を吐かれる。でもその表情は普段より優しくて。ここで話すのもなんだからと藍先輩の部屋まで連れて行かれる。同室の那月と翔は、藍先輩から別のカリキュラムをもらっていた為に、今はいなかった。

「まあ、あの人の命令なら仕方ないか…ほら、見せてよ」

「はいっえ…と、これです!」

藍先輩に楽譜を渡す。受け取りまじまじと譜面を見られているこの時が一番緊張する…一体何を言われるのか分からない、今回の出来は割と上手く出来た方だと私は思うけど。しばらくして楽譜を見ていた状態から顔を上げた藍先輩が、軽く息を吐く。表情は、上手く読み取れなくて。

「あ、の…どうでした?」

「…前よりは良いけど、まだまだだね。そもそもこのメロディーは、君には向いてないよ」

「うーん…そう、ですか…」

「とは言っても、これはあくまで楽譜を見ただけで判断しただけだから。実際歌ったら、何か変わるかもしれないね」

「はい…」

今回もダメだったと、返された楽譜を見つめ思う。一体どうしたら、藍先輩に近づけるんだろう…。まるで私とは天と地の差を感じる、藍先輩はこんなにも輝いているのに、私は全然追いつく事が出来なくて。同期の那月と翔も、藍先輩の指導で着実に力をつけてきてる。私なんて、まだまだ―。
「…ねえ」

「…?はい、何ですか?」

「少しお茶でも飲んでいけば?そんなんじゃ、次に作る曲もダメになるよ」

「えっ藍先輩…ありがとうございます!!先輩、優しい…」

「!別に…君がそんな調子だと、僕の調子も変になるからやってるだけ、だから」

それより、僕が作ってあげるんだからもっと有り難く思ってよね。と言いキッチンへ行く藍先輩に、笑みが零れる。たしかに藍先輩は厳しいけど、こういう時は何だかんだ言ってとっても優しいし、厳しさがあるから実力が上がるんだと思う。私はまだまだだけど、早乙女学園を卒業したてのあの時よりも、今の方がずっと上達してる。これも、全部藍先輩の指導があったから。なかったら、絶対プロへの道なんて見えてないと思う。

「藍先輩、私…もっと頑張ります」

「、いきなり何?急すぎるんだけど」

「私…もっと頑張って、藍先輩と同じステージに立ちたい…いつか、藍先輩と一緒に歌いたいんです!!」

「…!!まさか、それだけの為に今やってるんじゃ、」

「まさにその通りです!!」

自信満々にきっぱりと告げる。学園にいた頃はとにかくアイドルになりたくて、ただそれだけの為に頑張ってた。結果優勝とまではいかずとも高得点を出してシャイニング事務所に入って、そして藍先輩に会った。今の私は、ただ藍先輩に惹かれて、藍先輩に振り向いてほしくて、がむしゃらに頑張って。気づかないうちに…好きに…なってたのかもしれない。

「はあ…ほんと、呆れるね」

「うっ…でも、この気持ちに偽りはないです!!」

「…っ、そんなに僕と一緒に歌いたいなら、尚更今のままじゃダメだね」

「そ、れは…もっと修行します…」

「ふう…仕方ないから、時間…作ってあげるよ」

「えっ」

小さく呟かれた言葉に驚いて慌てて顔を上げれば、何を思ったのか目を見開いて思いっきり顔を逸らされる。その顔は少しだけ赤く染まっていて。藍先輩の名前を呼べば、「ちょっと…今こっち見ないでよ」と言われ慌てて顔を俯かせる。どうしたら良いか分からない…今、藍先輩…時間作ってくれるって言ってくれた?今まで私が半ば強引に時間を作らせたのを、今度は進んで作って…くれる?

「藍先輩…今の、は」

「…別に、君の為じゃないから。一緒に歌う時に下手だったら、僕が困るからね」

「っそれじゃあ、本当に時間…作ってくれるんですね…!どんな理由でも、嬉しいです私頑張ります!!」

「(バカ正直…)まあ、頑張って。途中で挫折したって、僕は知らないから」

「はい!どんな事だって、耐え抜いてみせます!!」

自然と笑顔になる顔をそのままに返事をすれば、溜め息を吐かれながら五月蝿いと言われる。でも、全然そんなの気にならない位に嬉しくて。これで藍先輩と一緒に、歌える時が来るかもしれない…ううん、歌うんだって、もう決めたから!!



「よし!藍先輩っ私…藍先輩と夢の為に頑張ります!!だから…見てて下さい!!」

「…一度決めたからには、手加減なんてしないからね。ちゃんと…着いてきなよ」

「はい!!」






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