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捧げる穏やかな時


いろはちゃん宅紫ちゃんと!
*セシ紫前提
(紫ちゃんが紫ちゃんじゃない…)


「!紫っ」

「ん?ああ、セシルか…って、は!?なっちょ、あんた何で此処にいるってかその姿!何で猫じゃないんだ…!!」

「紫っワタシ、紫の為に歌、作りました。聴いてくれますか?」

「あたしの話は無視かコノヤロウ」

「ムシ…?NON、歌です」

「はあ…分かった、分かった聴くから!とりあえず学校にいる事バレたらマズいから兎に角今は隠れて、」

「あれ…紫、ちゃん?」

「「あ、」」





「んーっ今日はゆっくり部屋で曲作りでもしてようかな…気分転換も出来たし」

今日は学校は休みで、各自自由な1日を過ごしていた。学校に来て今の内にと練習をする人や、たまには気分を変えて街に出かけて行く人、のんびり部屋で寛ぐ人、人それぞれが思い思いの1日を過ごす。私はと言うと、今日は天気が凄く良かったから晴れた空を見に外へブラブラと散歩をしていて。日向ぼっこもそこそこに部屋に帰ろうと寮へ向かえば、前方に見慣れた姿。

「あれ…紫、ちゃん?」

「「あ、」」

ベンチの傍で、紫色の髪と目を持つ彼女を見つける。よく見れば紫ちゃんだけじゃなくセシルもいて。思わず声をかければ紫ちゃんは凄く焦っていて、セシルは普通に私に笑いかけてくる。2人のあまりの反応の違いに、疑問符が浮かんだ。

「えと…何かあった?」

「いやっこれはセシルはただの…あーえーな、何だ…別に怪しい奴じゃなくてな…」

「ああ、久しぶりです鈴羽」

「セシル、最近会ってないなって思ってたら紫ちゃんの所にいたんだねっ良かった何もなくて!」

「あ、あんたら知り合いなのか…?」

恐る恐る聞いてくる紫ちゃんに、素直にうんと返事をすれば安心したのと同時に盛大な溜め息を吐く。セシルとは、クップルの時に初めて会ってそれから何度か部屋で会った事があって。でも最近は会わなくなったから何かあったのかと心配になってたけど、紫ちゃんの所にずっといたみたいらしくそれを聞いて本当に安心した。

「2人共何してたの?あっ私邪魔だったよね…!」

「なっなな何言ってんの鈴羽!!別にセシルとはそんなんじゃ、」

「えっ?その、2人って付き合っt」

「YES、その通りでs」

「あああぁああああ!!セシルも何言ってっもうそろそろ周りに人来るかもしれないからさ!とにかく移動しよう、な!!」

「うん?あっじゃあ私の部屋に来て!久しぶりに2人でお話したいなあ」

慌てて言う紫ちゃんが可愛くて可愛くて、いつも強きな紫ちゃんがこうやって慌ててるのが新鮮で凄くこう何か、微笑ましく感じる。紫ちゃんとセシル…こういうのが似合ってるって言うのかな。





「はいっどうぞ2人とも」

「はあ…何か此処に来るまでで凄い疲れた…」

「あははっえと、ごめんね…?あ、私飲み物持ってくるから好きな所座ってて?」

「ん、お言葉に甘えるわ…ありがとう鈴羽」

「ううん、全然大丈夫!ゆっくりしていってね」

2人を部屋に招き入れて、好きな所に座ってもらう。何か飲み物を取りに行くのと同時にチラッと2人の様子を覗き見すれば、セシルが紫ちゃんに作った歌を披露していて。綺麗で澄んだ声が私の部屋に浸透していくのが凄く心地良い。

「紫、どうですか?」

「あー…もう少しサビ前の入りを強くした方が良いな。でも今の凄く良かったよ、その…もう一回聴かせてくれるか?」

「!はい、ワタシ沢山歌います。紫の為にもっともっと歌、作ります」

「その意気は嬉しいが…うんまあ良いや、よろしく(恥ずかしげもなく言うなって言ってもきっとセシルには通じないだろうからな…)」

「はいっ」





「えっここでテンポ上げるの?」

「その方がここの入りがもっと力が入る、あとこっちは逆にもう少し遅めにしてビブラートを響かせるべきだと思うけど」

「あ、そっか凄い紫ちゃん…!!」

「そう?…まあでもあいつの曲なら鈴羽が作ったやつの方が良いかもしんないな…」

「この曲、とても好きです。前よりずっと上手くなりました、ワタシ歌いたくなります」

「わ、あっありがとうセシル…!!」

しばらくして3人で机を囲み私の作った曲を見てもらう。音楽に対しては情けをかけずに容赦なくズバズバ意見を言う紫ちゃんだけど、それが逆に凄く私にとってタメになって作業がとても捗る。ちゃんと歌い手の事も考えて意見してくれる辺り、さすがだなあって思って。早く追い付きたいなあ…。

「じゃあこことここを…、う?」

膝の上に置いていた携帯が電話を知らせる。立ち上がって隅に行き確認すれば連絡先はレンからで。慌てて電話に出ればこれから時間が空いてるか尋ねられる。

「んと、今は…あ」

ふと頭に思いついたプランに、自然と笑みが浮かぶ。空いている事を伝えて電話を切り2人の方を見ればセシルが歌いそれに合わせて紫ちゃんをキーボード奏でていて。バレない様にこっそりと準備をして2人の元に戻った。

「…鈴羽?」

「ごめんね、えと…少し用事出来ちゃって!」

「そっか、ならあたしは部屋に戻」

「わああ大丈夫大丈夫!!うん、すぐ戻るからっ2人で!しばらくいて良いよ!」

「え、いやでも」

「じゃあ私行くね!2人共ゆっくりしてね!バイバイ!」

「は、なっ鈴羽…!?」

そそくさと部屋を出て真っ直ぐにレンの部屋へ向かう。しばらくは2人っきりで楽しんでると良いなと思いながら歩き自然と鼻歌を歌っている私がいた。





「(この状況…どうすれば良いんだ)まあすぐ戻るみたいだからこのままいるか、なあセシル…セシル?」

「ん…紫、ワタシ、眠いです」

「は?あーならそうだな…か、肩でも使って構わないけどって待て待て待てなんでこうなる」

「暖かいです、紫。一緒に寝ましょう」

「あたしはまだ作業が途中ってなっセシル!!いきなり抱きつくな待てバカ…!!」

「おやすみ…紫…」

「ちょっどんだけ寝付き良いんだまったく…!!はあ…仕方ないな、鈴羽が帰って来るまでだから、な…」







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