音が繋ぐ奇跡
「はるちゃんっ」
「あっおはよう鈴羽ちゃん!」
「うん、おはよう」
Aクラスに行ってはるちゃんを探していれば、はるちゃんが私に先に気づいてくれたらしく話しかけてくれた。外に出て昨日トキに言われた内容をこっそり話せば、HAYATOと言う単語を聞いた瞬間に目を輝かせていて。はるちゃんが凄く活き活きしてキラキラしてる…本当にHAYATOが好きなんだなあはるちゃん。
「ほっ本当にはっははハHAYATO様に…会えるの…!?」
「会えて話せるかは分からないけど…多分、見る事は出来ると思うっどうかな?」
「遠目から見れるだけで十分だよ…!一ノ瀬さんが良いって言ったら私も…良いかな…!?」
「じゃあ私がトキに言っておくね、絶対良いって言ってくれると思うから!」
「ありがとう鈴羽ちゃん…大好き!!」
そう言って私をぎゅっと抱き締めるはるちゃんに、絶対HAYATOに会わなきゃと心の中で思う。何となくそのまま抱き合っていればふいに足元から声が聞こえた。離れて床を見れば最近よく会う彼がいた。
「黒猫っ」「クップル!?」
「はるちゃんこの黒猫知ってるの?クップルって、もしかして飼い主?」
「あっううん、違うの!クップルはその、私が勝手につけた名前で…」
「そうなんだ…クップルー、良い名前つけてもらってたんだね」
「にゃう!」
しゃがみこんで黒猫もといクップルの頭を一撫ですれば喉を鳴らして手に擦りよってくる。そういえば、クップルちゃんとご飯食べているのかな…何処かの家に住んでいそうな感じもしないけど野良と言う感じもしないから、普段どんな行動をしているのかが分からない。
「クップル、ご飯何が好きなんだろう…」
「あっクップルはさおとメロンパンが好きみたいだよ」
「へ、え?さおとメロンパン!?まっまさか、人間じゃないんだ、し…」
「うにゃう!」
…おかしい、えっ今の鳴き声ってたしか否定の鳴き声だったはず。今の話で否定する所なんて人間か人間じゃないかの所位で他に何かないし、いや待って待ってだってクップルは猫なんだから人間じゃない。それを否定ってつまりクップルは人間…ないない、ありえないよそんな事。
「…クップル、今日私の部屋おいで」
「にゃふ?」
「鈴羽ちゃん、どうしたの?」
「うっううん何でもない!あ、授業始まっちゃうからさっそろそろ教室戻ろう?」
「?うん」
クップルがもし本当に人間の事を理解しているのなら、きっと言葉が通じなくても会話は出来ると思う。私は結局気になってこっそりクップルにそう告げる。クップルは最初はきょとんとしていたけど私の言葉を理解したのかそのまま立ち去って行った。
「はるちゃん、例の件楽しみだね」
「うん!HAYATO様…早く会いたいなあ…」
「きっと会えるよ!あっ私Sクラスだからこっち、またね、はるちゃん」
「うん!またね鈴羽ちゃんっ」
「(さおとメロンパン、買ってみようかな…)」
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