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可愛いのは好きです


「う…んー…う?」

あのままの状態で寝てしまって、気づいた時にはもう起床時間を知らせるアラームが鳴っている。急いでアラームを止めて…あれ?私昨日確か、セシルって人と夜中に会って、それから。

「いない…?夢だった、とか…?」

夢だとしたら記憶はハッキリしすぎていて、昨日セシルと会ってから寝るまで鮮明に覚えてる。ハッとなって目元を触れば、そこには微かに涙の跡が残っていて、あれはやっぱり夢じゃなくて現実にあった事なのだと思い知らされる。

「!…また触れられてるとか本当に私って何なの…」

最近レンとパートナーになってから男の人との触れ合いが多すぎる気がする。レンが原因ではないけど…多分、前より皆と関わる様になったから。さすがにこれだけ触れられてしまえば慣れも訪れてしまうのが何とも言えない気持ちになる。…いや、でも抱き締められるのは恥ずかしいから手だけ、手を繋ぐのは、少し慣れたと思う。

「…にゃーう」

「う?あっ黒猫」

「んにゃっ!」

「んと、何処から来たの君?」

「にゃふ?」

…まあ、話が噛み合っているのか分かる訳もなく。でも本当に、何処から来たんだろう。凄い毛並みも綺麗だし顔も凄く整ってる。誘われる様に黒猫に手を伸ばして触れてみれば、黒猫も擦りよって来て。

「か…かわ、いい…」

普通に可愛い。どうしよう、この子誰かの家から抜け出したのかな…それとも野良猫かどっちか。どちらにしても凄く…ダメダメダメ飼うなんてこの学園で許されてないだろうし、そもそも猫を飼った事がないから食べ物とか色々分からなさすぎる。

「にゃう?」

「ごめんね…あの、夜なら来て、良いよ」

「んにゃっ!」

「わっそれは肯定なのか否定なのか分からないけど、うん、よ…夜ね」

黒猫にそう言って、抱きかかえて窓際まで連れていく。ゆっくり降ろして頭を少し撫でれば、黒猫はキョトンとしながらこっちを見つめてくる。名残惜しくもそのまま別れを告げれば、黒猫は一鳴きして外に去って行った。




「あの黒猫…目がセシルと同じだった…とかはないよね、うん気のせい気のせい」




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