心、通わせる
「んー…やっぱり…寂しいな…」
あの後HRも終わって、とりあえずは今後の事も考えたかったから寮に戻って来ていた。帰る前にレンに呼び止められたけど、とりあえず色々整理したいって言ったら明日色々話そうって言ってくれたから、一先ずは安心…。でもちょっと悪い事しちゃったかな…?
「今後のデビューに向けてのパートナーなのに私の理由で断って…やっぱり悪いよね…」
明日になったら謝って…じゃ遅いかな、明日に会うのはもう決まってる事だし、今から謝りに行こう、うん、そうしなきゃダメ。
「あ、でも今部屋にいるのかな…?」
考えても、関わってなかったのに分かる訳もなくて。とりあえず今部屋にいる事を祈りながら行くしかない、かな。それに、
「…この部屋にいても、寂しいだけ、かあ」
今日あった出来事なだけに、部屋の違和感に慣れる事は出来なくて。…なつに言って良かった、やっぱり今日はこの部屋で1人で寝るなんて…多分、ううん絶対、出来ないから。
「おや…レディ?」
「んと…さっきぶり、レン」
ドアを恐る恐る開けて、中を見てみればそこにはベッドに座りながらダーツをしているレンがいて。良かった、さっきの女の子みたいに誰かがレンを誘っていたらいなかったかもだし…。
「何かあったのかい?」
「えと、謝りに」「謝る?レディは何もしていないだろう?」
「ううん、その…さっき断っちゃったから」
「ああ、さっきのは気にしなくて良いさ」
「でも、パートナーだから…みたいな」
そう言えば、彼は少し微笑んで。自分の隣をポンポンと叩いて「とりあえず、こっちにおいで?レディ」と。入ってすぐの場所に突っ立っていたら、確かに邪魔だよね。ゆっくり彼のベッドまで近づいていけば手を取られて。吃驚している間にいつの間にかベッドに座っていた。
「っそ!そっそう、いえば、まさはいないんだね!!」
「ん?ああ、何かは知らないけどね…今日は帰らないんだと」
「!そっ、か…えと、ごめんね」
「どうして謝るんだい?」
「えっ、だって寂しいでしょ…?ぁっ」
言ってから慌てて片手で自分の口を押さえる。寂しいって、それ私の気持ちじゃないの…バカだ私…!!ハッとしてレンの方を見て見れば少し驚いた様に目を見開いて、でもすぐに嫌そうな顔をした。
「寂しい、か。俺はあいつなんていなくても良いけどね…そんな事より、」
「!?んわっ、ぅえ…!!?!」
「あいつの話なんて止めて…良いコト、しようか…?」
「やっなっなな、やあぁあああ何して…!?」
目にも止まらぬ速さとはこういう事なの…って考えてるんじゃなくて!!なっな、ままっまた触れられた…!!ベッドの上に押し倒されて、腕も掴まれてるから動かせないし、なっ何より私の上に乗っているから、何もかもの距離が…近すぎ…!!
「鼓動が早い…緊張しているんだね」
「ここっこれで緊張しない方がむ、無理だってばぁ…!!」
目を合わせたくないからギュッと開かない様に目を瞑り半泣きになりながら訴える。なんでレンはこんなにはっ破廉恥なの…!!何も起こらない様に祈ってたら、それが叶ったのかレンは私からスッと離れて。勢い良く起き上がってベッドから離れた。
「もっ…レンの破廉恥…!!」
「はは、悪かったよ」
「う…わ、私…もう行く!」
小走りにドアまで近づいて、ドアノブを掴む。でも…何も言わないで行くのは、れっ礼儀として失礼だ、よね。
「…ま、また明日…バイバイ、レン」
「ああ、また明日…レディ」
そう言って、部屋を出た。
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