絆結び のコピー | ナノ

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 結局あの話題を振り出した中頭、それに続くほかの奴らも見ることになったらしい。
 流星群が見えるのは午後十時から。という事で、それだといろいろ危ないので、時羽学園の寮で、今日一人泊めて欲しいという届出を出し、副会長の藤原と同室となった。
 始まるまでは、また集まって色々と交流をし、夜十時を過ぎたところで、皆で外出届を出し、外に出た。

「わ、星綺麗に見れますね」
「周りに邪魔する光が何もないからな」

 都会だとずっと街が明るいから、星が見れない。だけど時羽が建っているところは田舎。明るい光を放つものは、星くらいしかないのだ。

 天体観測、っても学校の企画みたいなもんだ。そんな美鶴が期待してるほど、すげぇ流星群が見えるわけじゃねぇと思うけど。でも俺は星は好きだし、小さいころから暇さえあれば、よく夜空を眺めていたもんだ。
 見ていた理由は綺麗だから、とかじゃなくて…なんていうんだろうな。星の名前を憶えて、その星を座標をもとに探したのがはじまりだったよーな…。

「美鶴は星がすきなのか?」

 美鶴は少しハッとしてこっちを見た。そして少し視線をしどろもどろに動かす。そして無言になる。
 このまま無言じゃ、俺が落ち着きなくしそうで、とりあえずもう一度話題を引っ張り出した。質問に少し悩む素振りをみせると、美鶴は少しだけ言いにくそうにモゴモゴと口を動かす。
 …なんだよ、言いたいことあんなら言えよな。

「あんまり、星をみる機会がなくて…」
「なんだ。星が好きで一緒にきたんじゃねーのか」
「う。…そう、です。でも、綺麗だなって、そう言う意味では好きです!」

 なんだ。てっきり俺と一緒かと思ってたが。まぁ俺もあんまロマンある理由がじゃねぇから、星好きとも言えねぇけど。でも、いつからか分からない。星がよく見える日を、楽しみにして外出する自分が、いつからだったか。

 小さいとき、そりゃもう暇だったからな。保護された後も、前も俺ができることなんて限られてた。子供の遊びを知るわけでもねーし、やれることは調べ物とかその辺くらいだ。
 そうだ。暇つぶしに夜空みてたら、思いのほか…。

「みててあきねぇんだよな」
「え?」
「星だよ」
「あぁ…」

 とかなんとか、会話してる間に目的地に到着した。どうやら学校からそう遠くない、山の中の広場みたいな場所だ。ここで間違いねぇんだけど…おかしい。

 風がひゅうと吹いて、誰もいない広場は静かすぎるくらい閑散としてた。そして、さっきまで一緒にいた奴らも居なくなっていた。

「アイツ等どこいった…!」

 俺がドスの効いた声を出せば、美鶴が苦笑いをする。うし、決めた。生徒会を次は真面目にぶっ潰す。狐紀と奏架にも本気出してもらおう。
 俺が軽く眉間に皺が寄っていれば、あっと美鶴が声を漏らす。

「どうした?
「今、星が流れました」
「お、そうか」

 俺が答えれば、直ぐにまた美鶴がやがて感嘆の声をあげながら、俺に見るようにといってくる。俺も同じように上を見上げるとと、確かに美鶴がうっとりとしたため息ついたのも分かる気がした。流星群と言っても直ぐに出てくるわけがないか、と思いっていたのだが、直ぐに星が流れていた。

「おぉ…」

 なんつーか…やっぱりすげえな。雑誌であんなにきれいに見えた夜空は、やっぱ生でみると違う。
 そう、迫力がある。印刷で現されたそれより、自然の迫力ってのがあった。流れ星だけでなく、視界いっぱいに、埋め尽くされるような数々の星は綺麗だ。

「なんつーか、こうやって隣に誰かが居て、一緒に見るのも良いもんだな」

 アイツ等も、どっかで歓喜の声を上げながら見てんじゃねえのかな。安易に予想がつく。俺はおかしいのか微笑ましいのか、よくわかんねぇけど小さく笑った。…と、静かになったもんだから俺が隣を見てみたら、少し驚いた美鶴がそこにいた。

 …な、なんだよ。笑ったのが変だったのか…?

 オレは口元を引き締めて、すこし睨むように「なんだよ」と小さく訊ねる。すると美鶴は困ったように眉を下げた。…なんだよその態度は…。
 俺がさらに不機嫌になると、美鶴はようやく言葉をはきだした。

「その、早緑さん、恥ずかしいこと言ってる自覚、ありますか…?」

 ……その言葉、そっくりそのままさっきのお前に返してやるよ。



きらきらお星さま


 



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