「いーざーやーくーん?何で君がここにいるのかなぁ?」

「やだなぁシズちゃん、俺はただ買い物に来ただけなんだけど」

「くせぇんだよ、手前がこの街にいるとな!」

「酷いなぁ、もう新宿に帰るところだからさ…見逃してよ」

「誰が逃がすかよこのノミ蟲野郎…!」

「あーそうそう、前から言おうと思ってたんだけどさ、なんで自販機を投げるの?」

「手前を殺すためだ」

「いや違うよ、なんで自販機なのってこと。シズちゃんなら他の重いものも持てるんじゃない?」

「そうかわかった、自販機より重いもので殺されたいんだな叶えてやる」

「どうしてそうなるんだい?」

「ほらよ、ポストだ、今殺してやるからそこを動くなよ」

「あーぁ…ポストの中身って考えてるのかなぁ…責任とれんのぉ?」

「…っ!」

「やっぱりね、考えてないと思ったんだ」

「…!よし、じゃぁこれで殺してやる」

「…!?」

「ぬらぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわ、街灯って引っこ抜けるものなんだね…参ったな…」

「死ねぇ!!」

「嫌だよ、シズちゃん殺されるんだったら自殺した方がマシだよ」

「避けんじゃねぇ!」

「じゃ、俺は帰るからさ!」

「待てコラ!逃げんな!」

「じゃ、バイバーイ!」

「逃がさねぇよ!うらぁぁぁ!!」

「おっとぉ!危ない危ない、一歩ずれてたら全身の骨が折れちゃうよ」

「今度は絶対に当てる…!」

「もういい加減にしてよ」

「ああ゛?」

「いい加減死ねってこと」

「手前が死んだらそれでいいだろ」

「ほんと、話が通じないね」

「うっせぇ!死ね!」

「だから嫌だってば」

「死ねー!!」


―数分後...―


「ハァハァ…手前いい加減に…」

「うるさいな…ハァ…そっちがしつこいからだろ…」

「…ハァ…喉いてぇ…」

「叫び…過ぎ…なんだよ…」

「おい…ノミ蟲、そこの自販機でなんか買ってこい」

「うわ、何その命令口調…。お断りだね、何でシズちゃんの為に俺がお金を使わなきゃいけないのか…さっぱりだよ」

「買ってきたら今日は見逃してやる」

「…信じられないけど…まぁ俺も喉乾いたし、買ってくるよ」

「…」

「どれにしようかな…」

「…」

「んー…」

「…」

「よし、これ!」

「…」

「はい、シズちゃん」

「おぉ、サンキュー」

「シズちゃんに礼を言われると吐き気がするのは何故だろうね?」

「よっぽど死にたいらしいな」

「事実なんだからしょうがないじゃないか」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す…?おい臨也」

「…!」

「なんで缶一つしかねぇんだよ」

「丁度買い物で使いきっちゃったみたいだからさ、一つしか買えなかったんだよ」

「じゃあ手前が飲め」

「ちょっと、シズちゃん?君が買ってこいって言ったんだよ?だから俺がわざわざシズちゃんの為に空になりそうな財布から百円玉を自販機に入れてその缶を選択して持ってきたんだよ?命令したのはシズちゃんなんだからさ、ありがたく飲みなよ」

「…」

「…何?」

「じゃぁ半分飲むからあとは手前が飲め」

「…!?」

「それでいいだろ」

「ななななななな何言ってんのシズちゃん!?シズちゃんの飲みかけを俺に飲ませるの!?冗談じゃない!俺は帰ってから飲むからいいよ!飲みなよ!シズちゃんの飲みかけを飲んだら俺死んじゃうから!」

「なら死ね」

「だからいらないからね!飲みかけなんか!」

「ほらっ」

「いらないって言ってんのにさ…無理矢理渡す気?」

「死ぬんだろ?じゃぁ死ね、だから飲んで死ね」

「…わかったよ」

「…」

「あのさ、そんなに…その、ジロジロ見ないでもらえるかな…?」

「俺は手前が死ぬのを待ってるだけだ」

「…」

「…」

「…っ」

「…どうした」

「わかったよ!飲めばいいんだろ!」

「…」

「ひ…一口だけだからね!」

「全部飲め」

「…〜!」

「ほら、早く」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…はい!飲んだよ!」

「早く死ね」

「もう!シズちゃんわかってないな!」

「あん?」

「残念だけど!俺は帰らせてもらうよ!」

「お前が飲んだら死ぬって言ったんだろ」

「ああ!違う意味でね!」

「何でそんな顔赤いんだ?熱でも…」

「無い無い無い無い!!大丈夫だから!じゃぁね!!」

「あ!おい!臨也!」

「静雄」

「ん?なんだ新羅か」

「なんだは無いじゃないか」

「何の用だ」

「ちょっと考えてみたら?」

「は?」

「ほら、この缶のこと。よーく考えてから臨也の気持ちが分かると思うよ」

「…?」

「ほんと、君達って…素直じゃないよねぇ…」

「お前の言っていることがさっぱりだ」

「あーいいのいいの、気にしないで…ほら、早く考えなよ。僕はセルティが待ってるから早く帰らなきゃ!あぁ!セルティ!今行くからね!」

「…新羅もわけわかんねぇ、缶がどうしたって…!?」

俺はそこで気づいた―

「…!!」

顔がカァッと熱くなるのも感じた―

「いーざーやぁぁぁぁ!!」

そして俺はまた自販機をあのノミ蟲に向かって投げつける―


END.



間接キスとかよくないですか、最高じゃないですか。
素直じゃない二人大好きです。



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