なんで赤くなるん? 寝不足だ。もの凄く。 考えないようにしてもアントーニョのことを考えてしまう。重症だ。絶対に。 フラフラと教室へと入り、椅子に座って頭を伏せる。寝たい、のに寝れない。 私ってこんなに乙女だったのだろうか。 「自分、大丈夫なん?」 「んー…うるさい…。」 「授業そろそろ始まるで?」 「んー。」 アントーニョの大きく、暖かな手が私の頭を優しく撫でる。 「ほんま大丈夫なん?」 「だいじょーぶ。」 「ほら、顔あげたって?」 「…む、」 アントーニョの言葉にノロノロと顔を上げれば目ぇ死んどる、と苦笑された。 「んー、熱はなさそーやな。」 ぴったりとおでこにあてられた手が、落ち着く。 ずっと一緒にいたせいかな、なんて考えながらもアントーニョを見上げたとたん、私は目を見開いた。 「…!!!?」 ハッとして慌てて起き上がればアントーニョが驚いたようになになに!?と声を上げる。 (ちか、近かっ、た…!!) おでこに手をあてられただけなのに、机ごしのアントーニョが予想以上に近くて、寝不足がぶっ飛ぶ勢いで驚いてしまった。 未だに驚いているアントーニョにごめん!と謝れば、困ったような顔でビックリしてもうた、と笑った。 「俺、なにか、嫌なことしてもうた?」 「ち、違う…け、ど…!」 「そっかー、よかった!嫌われてもうたら、俺、どないしよーって」 「き、嫌うことなんて絶対にない、っていう、か…」 「ほんまに?」 「ほ、ほほほんまに!」 「おおきにー!」 「う、うん……。」 「でも、」 「なんで赤くなるん?」 何でこんなときだけ鋭いの!! back |