「好きです!付き合ってください!!」
誰もいない中庭。
そこで自分に向かって頭を下げている男子生徒に雪詠は思わず顔を引きつかせた。
雪詠に一目惚れしたと言った男子生徒は精一杯顔を赤くして頭を下げている。
だが、雪詠はこの男子生徒と話したこともなければ記憶にすらなかった。つか、お前誰よ。
「ごめん、なさい。その、」
「…氷室さんですか?」
「…は?」
「氷室さんと付き合ってるんですか!?」
なぜそうなった。
内心頭を抱える雪詠も露知らずどうなんですかと声を上げる男子生徒に思わず後ずさる。
「悠は別に、幼馴染みっていうか、親友ってだけで…」
「じゃあ、」
なんなんだよこいつ、しつこい!!
ズイズイ前に出てくる男子生徒に雪詠は顔を青くする。
(だ、誰か…!!)
「なにしてんだ、おめー」
その声に雪詠は目を輝かせた。
「獄寺君!!」
「は?…榊?!」
目を丸くさせる獄寺も気にせずに雪詠は慌てて獄寺の背に隠れた。
「う、うち獄寺君と付き合ってるんで!!」
「は!?」
「ご、獄寺と…?」
さすが名の知れた(不良)獄寺である。
失礼しましたと情けない声で謝りその場を去る男子生徒に雪詠は胸を撫で下ろした。
「いやー、助かったよ獄寺君。」
「は!?つか、付き合ってるって…」
「ごめんごめん!しつこくてどうしようかと思ってたらタイミングよく来てくれたからさ」
「…そういう意味かよ。」
「え?」
ぼそり、と呟かれたその言葉に雪詠は首を傾げた。
「今なんか言った?」
「な、なんでもねーよ!!(っつーか、なんでオレはガッカリしてんだよ!?)」

 
 
お互いに自覚の無い雪詠(自分の行動)と獄寺(恋的な意味で)



少しは考えろ!バーカ

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -