act.16

ラストゲーム


今日も快晴!絶好のテニス日和!!
アップにも熱が入る。


「ふふ、試合前から飛ばしすぎじゃないかな」
「なんかいてもたってもいられなくて」


驚くことに準準決勝、準決勝と無事勝ち進み、残るは決勝戦のみ。
マジですか。正直、本当ここまで勝てると思ってなかったよ。
残念ながら柳や赤也たちのペアは途中で敗退してしまった。なんてこった!


「さあ、行こうか」
「よーし!ここまできたら絶対優勝しなきゃね!」


こつん、と拳をあわせる。
顔を見合わせて笑えば、テニスバックを持ってコートへむかう。


「ただいまより、幸村・高野ペア対越前・竜崎ペアの試合を始めます」


「ふーん、あんたたちここまで勝ち進めたんだ」
「越前くんだからって手加減しないからね!」
「当たり前でしょ。てか、手加減するなら俺のほうじゃない」


ふん、と鼻で笑って竜崎さんのところへむかう越前くん。
むきーっ!絶対ギャフンと言わせてやるんだから!!


「律、手だして」


わけがわからないまま手を精市の前に出すと、ぎゅっと握られた。


「ねえ、精市。この試合で最後だね。思い残すことのない試合にしよう」
「ああ、もちろんだ。俺たちの優勝に死角はない」


もう一度ぎゅっとにぎりあうと、それぞれの持ち場へ。
私たちの目指す先は同じ。私は私のやれることをするだけ。


ボールが地を跳ねる。


続くラリーの押収。
両者、一歩も引かないまま試合は進んで行く。レベルが高すぎる。
でも、そう思ってるのは私だけではないみたい。竜崎さんもなんとかついていってる状態だった。


気持ちで負けるわけにはいかない。無心で足を必死に動かす。ラケットを振る。


精市を見ると、ちくりと胸が痛む。これで一緒にテニスをやれるのはきっと最後。
そんな思いを必死に追いやって、試精市やみんなの思いに応えたい合に集中する。私にテニスの楽しさを教えてくれたみんなの思いに応えたい。ううん、ちょっと違うか。本当はわかってるんだ。いままで気づかないふりをしてただけなんだ。自分でつりあわないって勝手に決めつけてた。


「ハッ!」


バシュッ!


すべてが終わったら伝えよう。
この気持ちを。





13.06.11
次で決勝戦完結になります。

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