act.14

ミスクド大会開会!


「あぁああぁあああ!!」
「相変わらずうるさいやつじゃのう」


そりゃ騒ぎたくもなるよ!
そう今日からミスクド大会が開催される。
正直、みんな強そうにしか見えないですね!
期間は短いけどそれなりに練習した。気持ちで負けちゃだめだ。

時間とはあっという間に過ぎるもので、バクバクしてる心臓を落ち着かせようとしてるうちに気づいたら開会式を終えていた。




「ゲームセット!幸村・高野ペア 6−1」

「ダブルスも得意なんですね。負けはしましたが、いいデータがとれましたよ。んふっ」
「そのデータが通用するかはわからないけどね」
「次は負けませ「精市!」


やったね!と精市に抱きつけばしっかりと受け止めてくれる。


「あ、観月なんか言ったかい?」
「いいえ、それでは私はこれで」


んふふ、と怪しく笑う彼の背中を見送る。
変わった人だなー。


その後も私たちは順調にトーナメントを勝ち進んだ。
あやうい場面もあったが、精市がフォローしてくれて順調に勝ち進んだ。
精市と私の力の差はやはり大きい。実際に公式試合をしてみて、そう思った。練習とは違った空気をまとっている。これが王者の風格なのだろう。

何度も足手まといだとか、なぜ素人と組んだのかなどの中傷が降り注ぐ。
わかっていたことだけど、ちょっときついかなー。
ラケットを握る手に力が入る。それでも私はテニスがしたい。テニスが楽しくて、好きでしかたない。精市とテニスがしたい、一緒に勝ちたい。


「精市、私負けないよ。だから、勝とうね!」
「それでこそ俺のパートナーだ」


ペアを組んでから一番近くで律を見てきた。
本当は律のことを悪くいうやつら全員の五感を奪ってやりたい。
それでも、試合になればどんな状況でも彼女は心からテニスを楽しむ。
プレーを見ていればひしひしと伝わってくる。まわりに彼女のことをしってもらいたい気持ちもあるが、自分の心の中に閉じ込めておきたいとも思う。
俺だけが律のことを知ってればいいなんていうのは我が儘だろうか。


「赤也くんや柳たちも順調みたいだね。
私たちの次の相手は、跡部・白取ペアか」
「跡部たちとか。これはすんなり行かせてはくれないだろうね。
まあ、勝つのは俺たちだけど」
「が、頑張りまーす……」


首をすくめてそういえば頭をくしゃっとなでられた。
俺がついてるから大丈夫、と耳元で聞こえる心地よい彼の声。
自然と胸があたたかくなる。
大会が終わっても一緒にテニスができればいいのに。
そう思った瞬間、ズキッと胸が痛んだ。
えっ………まさか、ね………。

頬を叩いて気合を入れなおす。
今は大会に集中しなきゃ!

気づきかけた気持ちに蓋をして、先に歩き始めていた彼を追う。
どうか精市と少しでも長くテニスができますように。






110907


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