君を嫌いになりたかった(南雲と基山)


※ヒロトが晴矢をボコる
相変わらずそれが愛なの



























「ッぐは……!」
「…………」

痛い 晴矢を殴るこの拳が痛い
でもきっと晴矢はもっと痛い
肉体的な痛みと 精神的な痛み
ああ俺は何て酷いことをしているんだろうか
ねぇ晴矢 俺、本当に君に申し訳ないと思ってるんだよ
もう殴りたくない、君にそんな顔させたくないって
でもね ダメなんだ


手が 止まらない




「……ッあぁァァァァ!!!!」
「骨は…折らないから」

ギリギリの所
いっそ折れれば楽なんだろうね
でも出来ない
俺は弱虫で酷い奴だから
ごめん ごめんね晴矢


「はぁ…はぁ……ッ」
「痛かった…?」
「………おう…」
「そう……」
「……満足、したか?」
「今日は、もう、平気」
「そっか……」
「………救急箱持ってくる」
「待て」



背中に優しい温もり
晴矢の 心臓の音
まだ ちゃんと生きてる
俺は、殺してない、


「……晴矢、」
「行くなよ…」
「晴矢、やだ…」
「ちょっとだけだから」
「やだ!離して晴矢!!」
「うるせぇ!!黙ってろ!!!!!」
「ッ……!!」
「黙ってろよ……お前、酷ぇ顔してんだよ…そんな顔で笑うなよ…」




晴矢を殴ったあと 晴矢はいつも俺を抱き締めてくれる
俺はそれが大嫌いだ
晴矢はいつもそうだ
黙って殴られて、どんなに酷いことされても抵抗しないで、
その事を決して誰にも言わなくて、


それなのに 最後はこうやって俺を抱き締めるんだ
狡いよ 訳分かんないよ
もっと俺を罵ってくれよ
嫌いだって突き放してくれよ
俺を孤独にさせてよ
ねぇ 晴矢、










君を嫌いになりたかった

一人で良かったんだ こんな俺は、